■絶対王者・山王工業に見舞った「奇襲のアリウープ」

『SLAM DUNK』の最大の山場インターハイ2回戦で、全国的には無名の湘北は、絶対王者「山王工業」に挑むことになる。

 試合開始前、安西先生は湘北のメンバーに「攻撃的に」「絶対に受け身にならない」「常に先手をとる」という指示を出す。さらに安西先生は、宮城リョータと桜木花道の肩をガシッとつかむと「君達による奇襲だ」と告げていた。

 試合開始後、すぐに山王の深津一成にハイプレッシャーなディフェンスをされ、奇襲は難しいと判断した宮城。一本をキッチリ取ろうとするも、一之倉聡にドリブルをカットをされてしまう。すかさず猛スピードで追ってボールを取り返すと、宮城は山王工業の陣形が乱れた瞬間を見逃さなかった。

 持ち前のスピードで河田雅史を抜き去ると、宮城は花道に“表情”でサインを送り、通常のパスではなく、山王ゴールに向けて高いボールを放つ。

 これをカットしようと山王の野辺将広がジャンプするが、高さで勝った花道が片手でボールをつかみ、そのままダンク。これぞ“奇襲”といえる、豪快なアリウープを決めた。

 残念ながらこのプレーだけでは百戦錬磨の山王を動揺させることは叶わなかったが、桜木花道&宮城リョータの華のあるコンビプレーは観客のド肝を抜くことに成功する。

 それにしても、宮城と花道のコンビはいつ見ても良い。「いっ」という表情でなぜか伝わるおちゃめなサイン。アリウープが決まってから、当人たちが信じられないかのように大口を開けて驚く顔など、本当に息ぴったり。

 さらに二人で手を取り「オレたちって……」「天才?」と言うシーンなどはまさに似た者同士で、そんな名コンビだからこそ生まれた、奇跡のスーパープレーだったのかもしれない。

 バスケ初心者だからこそ失敗もあるが、そんなミスを帳消しにする信じられないスーパープレーを時々見せてくれるのが桜木花道という男の魅力だ。2022年秋には『SLAM DUNK』の映画化が決定しているので、躍動感あふれる花道のダンクシーンをぜひ劇場で見てみたい。
 

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