テレビアニメ第4シリーズが好評放送中の原泰久氏の人気漫画『キングダム』。7国が群雄割拠する中国の春秋戦国時代を舞台に、中華統一を目指す秦国の若き王・エイ政と大将軍への道を駆け上がる武将・信たちの熱き戦いを描いた作品だ。
アニメ第4シリーズは、合従軍に勝利した秦の戦後の動乱が中心となる。エイ政がいよいよ相国・呂不韋と国の覇権をめぐって雌雄を決する戦いへと突入していくのだ。
そんなキングダムの見どころと言えば、個性豊かで魅力あふれる将軍たち。王騎、蒙武ら人気の武将は枚挙にいとまがないが、計略や軍略によって彼らを援護する知将の存在も忘れてはならない。
今回は、並外れた知略により戦局を左右した『キングダム』のスゴい軍師・知将を紹介する。
■煙幕と矢で飛信隊を苦しめた「玄峰」
要地・山陽攻略をめぐる魏国との戦いで飛信隊ら秦軍を苦しめたのが、魏軍を率いる廉頗四天王の一人、軍師・玄峰だった。
玄峰は戦場に大煙幕を張り、秦軍に矢の一斉掃射を見舞わせる。混乱を極めた秦軍は降り注ぐ矢から逃れようとするが、視界ゼロの煙の中、魏の弓隊は正確に秦の部隊を追ってきた。実は、煙の中に鐘の音を出す兵を潜ませ、弓隊に秦軍の位置を知らせていたのだ。
そのことに気づいた飛信隊だが、間髪を入れず魏の装甲戦車隊が襲いかかった。玄峰は煙の中で苦しむ秦軍を眺めながら、こう言うのだった。
「他に代え難い“快感”が戦にはある」「軍略家にとってのそれは 己の脳一つで万人の戦いを操作し 一方的に敵を殺戮することじゃ」
その通りに玄峰は、本陣を急襲しに来た信に追い討ちをかける。おびただしい矢の雨に加え、地面に隠した巨大な杭の罠で騎兵を仕留め、飛信隊を壊滅状態に陥らせた。
玄峰は桓騎の奇策に討たれてしまうが、秦軍の緒戦は大惨敗に終わったのである。