井上雄彦氏の『SLAM DUNK(スラムダンク)』が、約25年の時を経て映画化されるというニュースを耳にして、小躍りしてしまったのは筆者だけじゃないはず。映画に関する詳細はまだ明らかになっていないが、個人的に「やっぱりどうしても見たい!」と思うのが、漫画のラストを締めくくった高校バスケ界の絶対王者「山王工業」と、ノーマークの挑戦者「湘北」の戦いだ。
とにかく熱すぎるこの試合。何度読んでも手に汗を握って見入ってしまうファンは多いことだろう。出場している両校選手のやりとりはもちろんだが、筆者が心底ジーンとさせられるのが試合を見守っている、いわば“脇役”ともいえるキャラクターの言葉だったりする。
そこで今回は、そんな「湘北vs山王工業」のコート外で飛び出した熱いセリフやシーンにスポットを当ててご紹介したい。
■「ボールよ吸いつけ」
絶対王者・山王に2点リードと、良い形で前半を折り返した湘北。しかし、そこから山王の伝家の宝刀「ゾーンプレス」が炸裂。さらに全国トップレベルのセンター河田とのマッチアップに赤木が苦戦し、22点差をつけられた湘北は絶望的な状況に追いこまれる。
ここで桜木花道をいったんベンチに戻した安西先生。追い上げるための切り札として花道に託したのは、オフェンスリバウンドを狙って4点分の働きをすることだった。
この安西先生の策を聞きながら、逆転への希望を感じ取った湘北の控え部員は「ボールよ吸いつけ ボールよ吸いつけ ボールよ吸いつけ」と念をこめ、花道の手を握る。それをきっかけに、ほかの控え部員たちも次々と花道の手を握っていった。
「てめーら凡人の考えそーなことだぜ」「念でリバウンドがとれるか」と照れくさそうに憎まれ口を叩きつつも、仲間たちの想いはしっかりと受け取った花道。その後コートに戻ると、花道はリバウンダーとしての才能を開花させていき、試合は大きく動くことになる。「この試合…絶対オレが何とかしてやる…!!」と花道を奮起させたのは、試合には出られなかった部員・仲間たちの心のこもった“念”があってこそだと思う。