■静流と左京

 最後に紹介するのは、桑原の姉・静流と、暗黒武術会で戸愚呂チームのオーナーだった左京の関係だ。漫画ではほとんど接点はなかったが、アニメ版では二人の特別な関係がフィーチャーされている。

 劇中、たびたび静流の窮地を助けていた左京。そしてアニメの第65話「闘技場と共に消える野望」で戸愚呂弟が敗れると、左京は会場である暗黒ドームを爆破するタイマースイッチを押す。

 その後、左京がコエンマに自分の夢が潰えたことなどを語っていると、そこに静流が現れる。彼女の存在に気づいた左京は愛用のライターを放って渡すと、穏やかな笑みを浮かべながら会場の崩落に巻きこまれる。涙を流して左京の名を叫ぶ静流に、彼は「さようなら」と小声で別れを告げていた。

 これは原作漫画にはないアニメオリジナルのシーンなので賛否あるかもしれない。物語的に、彼らには“その後”がないのはやむを得ないが、個人的にはもう少しこの二人の関係を見たかった。


 このほかにも「幽助の両親」「鈴駒と流石」「酎と棗」をはじめ、気になるカップルが存在。『幽☆遊☆白書』では恋愛事情に関してはっきりとした顛末が描かれていないのも特徴で、そのあたりが読者に“その後”を想像する余地を与えてくれたのかもしれない。

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