■「おふくろの形見なんだ。預かっといてくれよ」
戦争ものには戦死者がつきもので、その代表格と言えるのが『機動戦士ガンダム』シリーズだろう。本シリーズにはお約束と言える死亡フラグが満載だが、初作『機動戦士ガンダム』にもきれいな死亡フラグで戦死したスレッガー・ロウという名脇役が存在する。
「安物なんだがね、おふくろの形見なんだ。宇宙(そら)でなくしたら大変だ。預かっといてくれよ」
ソロモン攻略戦のとき、ミライの想いを知ったスレッガーは出撃前にこう言って彼女に指輪を預けるが……。結末は多くのガンダムファンが知るとおり、この後のビグ・ザム戦で2人が再会する未来は永遠に失われてしまうことになる。『機動戦士ガンダム』当時(1979年)はまだ死亡フラグという言葉はなかった時代。そもそも富野由悠季監督の作家性から本作では容赦なく人が死んでいくのだが、ドラマの演出も秀逸だったこのスレッガーの散りざまは死亡フラグのお手本のようなものとして今に語り継がれている。
この他、有名どころでは『超時空要塞マクロス』のロイ・フォッカーと「パインサラダ」。渋いところでは『銀河英雄伝説』のカール・グスタフ・ケンプも挙げられ、特にケンプの場合は「おれがいままで戦場に出て帰ってこなかったことがあるか?」という死亡フラグのテンプレパターンを踏襲しているのも見逃せないところだ。
探せばまだまだ出てくる死亡フラグの名セリフ。皆さんはどんなキャラクターとセリフを思い出すだろうか。なお、元ネタとして紹介した『プラトーン』は、戦争がどれほど過酷で悲惨なものか、どれほど人を狂わせるかをまざまざと描いた傑作として知られている。古い作品だが、興味を持った方にはぜひ観てもらいたいものだ。