1969年から1990年代まで小学館が発行するさまざまな雑誌で連載され、1973年から現在に至るまでアニメ放送されている藤子・F・不二雄氏による国民的漫画『ドラえもん』。
大人から子どもまで楽しめる作品として長く愛され、日本では知らない人はいないというほどの知名度を誇る名作だが、過去には我々の持つコミカルで愛らしいという『ドラえもん』のイメージとは著しくかけ離れた展開が描かれていたこともある。
また中には、連載が長く続いているためか、現在の常識では考えられないようなエキセントリックなシーンも。そこで今回は『ドラえもん』の漫画の中で描かれた「ヤバいシーン」を独断と偏見で選び、紹介したい。
■のび太に対してことごとく厳しいドラえもん
まずは、原作漫画では意外とのび太に対して手厳しい毒舌なドラえもんのセリフについて。
ふだんアニメを見ていると、ジャイアンにいじめられて泣いているのび太にひみつ道具を貸したり、ときにはのび太と一緒にいたずらをしたりと「頼りになる」「かわいい」「憎めない」というイメージのあるドラえもん。しかし原作漫画では、つい「そこまで言う?」とツッコみたくなる辛辣なセリフもあったりする。
たとえばコミックス18巻の「テレパしい」というエピソード。この回では冒頭からのび太がめんどくさがって「アー」と「ウー」という言葉でしか会話しようとしなくなるのだが、そんなのび太のぐうたら加減に嫌気のさしたドラえもんが発したのが「口きくのもめんどくさけりゃ、もう死んでしまえ」という言葉。「長いつきあいなら言いたいことぐらい伝わるはずだ」というのび太のトンデモ理論にイライラしたからといって、「死んでしまえ」はさすがに毒舌すぎないか?
このほかにも一人暮らしを決心したのび太に「えらい! いくじなしであまったれで、気も頭も弱いきみが、よくそこまで決心した!」(15巻「ナイヘヤドア」)とひと言余計だったり、「それはけしからん!! のび太一人をよってたかってわらいものにするなんてゆるせない!! しかもこんなよわい者を、あわれな者を、おろかな者を……」(36巻「いたずらオモチャ化機」)と、ドラえもんはかわいい顔してどこまでも手厳しい。
ツンデレといえば聞こえはいいが、のび太以外にここまでキビしい発言はしていないのが気になるところ。これものび太を思ってのドラえもんの愛なのかもしれない。