■ゾクっとするCパートの演出が秀逸

 続いては3話から。この話は遊郭に巣食う鬼の様子がホラーチックに語られ高い評価を集めた回だ。原作コミックスでは上弦の陸・堕姫と、その正体に感づいた遊郭のおかみとの会話の中で語られた「江戸時代にいた鬼」の様子が、物語冒頭で江戸時代の回想としてモノクロで語られる。内容は、ある遊女が花魁に向かって正体を問いただすが、急にふすまが閉まり、次の瞬間にふすまが開いたときには遊女の姿が消えてしまうというもの。

 物語の中盤では先述した堕姫とおかみのやりとりが描かれるが、何十年も前から堕姫が同じような殺害を繰り返してきたと思うとゾッとする。

 またこの回は、エンディング後のCパートも秀逸。これは遊女たちに介抱された善逸がひと息ついた瞬間に無数の帯に襲われ、突然画面がブラックアウトするというもので、安心した直後のビックリ展開はまるでホラー映画の手法そのものだ。どこかこれまでの『鬼滅の刃』と違う雰囲気に驚いたファンも多いのではないだろうか。

■煉獄の声が聞けた8話

 一方8話では、本編の終わりに煉獄ファンには嬉しいファンサービスがあった。

 ついに登場した堕姫の兄の妓夫太郎。その圧倒的な強さを前に、炭治郎や宇髄はかつてない苦戦を強いられる。そんな激しい戦いの渦中にある8話のエンディング後のおまけコーナーでは「煉獄、お前ならどう戦う 俺はお前のようにはできないかもしれない」と悩む宇髄の背後に煉獄が幻想として登場した。

 煉獄は「俺だってお前のようにできはしない。お前の剣技は美しい 妻はちょっと多すぎるがな」と励ましの言葉をかけ「竈門少年を、黄色い少年を、猪頭少年を。頼んだぞ、宇髄」と託してスーッと消えていく。宇髄はその言葉に力をもらったようで、口元に笑みをたたえ「派手に任せておけや」とつぶやくのだった。

 もう出番はないと思っていた煉獄の声が久しぶりに聞けた第8話。今後も退場していったキャラクターに会える機会があるのかと思うと、「遊郭編」以降も、アニメを一瞬たりとも見逃せない。

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