今から32年前の本日、1990年の2月11日にファミコン用RPG『ドラゴンクエスト4 導かれし者たち』が発売となりました。突然ですが、みなさんはピサロというキャラクターをご存じでしょうか。
ピサロとは、進化の秘宝を使うことで強烈な見た目なのになぜかカッコいいデザインのラスボス「デスピサロ」に変身する魔族のトップで、ドラクエ4における物語の中心人物です。ファミコン版のときはピサロ自身の公式デザインがなかったようなのですが、PS版でリメイクされた際にイラストが公開され、その麗しき姿に何人ものプレイヤーがとりことなりました。
あまりのかっこよさと魔族のトップというカリスマ性から高い人気を誇るピサロは、リメイク版ではついに味方としてともに戦ってくれるようになりました。ムーンサルトなどの専用技、めちゃくちゃ強い専用装備、高いステータスなどなど、加入時からすぐにエース級の働きをしてくれることから愛着が湧きやすく、リメイク作品でさらにその評価を上げた印象もあります。
しかし、私にはどうしても引っかかっていることがあるのです。ゲームだから強けりゃいいという意見ももちろん分かるのですが、ゲーム中での彼は完全な悪でした。事情が事情とはいえ、「仲間」と言われてもどうしてもピンとこないんです。
彼のデザインは好きですし、もちろんピサロが好きな人を否定するわけではありません。ただ今回は、私ヤマグチクエストがどうしても納得できないピサロの話をさせていただければと思います。1人でも共感してくださる方がいらっしゃるとうれしいです。
■人間への復讐を誓った悲しきダークヒーロー
ピサロにはエルフの恋人がいます。彼女はロザリーという名前で、ルビーの涙を流すことで知られています。
ロザリーの流すルビーは、ほかの人の手に触れるとすぐに壊れてしまうという不思議な性質をもっているのですが、ルビーの涙の噂だけが一人歩きしてしまい悪い人間たちに狙われていました。ひどい人間たちに襲われ、涙を流すようひっつかれていたところをピサロが助けたことがきっかけで2人は恋人同士になります。また、この事件を発端として、ピサロは人間への憎悪を膨らませていきます。まあ、気持ちは分かる。
そして、ピサロは人間たちを滅ぼすため、進化の秘宝を求めます。また。地獄の帝王・エスタークを打ち倒すという勇者を何としても始末するため、魔族の部隊を引き連れて、勇者の住む村を滅ぼすなどしていました。しかし、とうとう恐れていた事態が……。
ロザリーは、人間への怒りに打ち震え暴走するピサロを止めるように主人公たちに懇願しますが、主人公たちが離れている間にあまりにも哀れで非道な人間に暴行を受けてしまいます。ピサロが駆けつけてその人間たちを始末しますが、時すでに遅し。ピサロに抱かれながら、ロザリーは命を落としてしまいます。
この瞬間、ピサロの怒りが爆発。死の間際に、人間への復讐をやめるように願ったロザリーの言葉も届かず、ピサロは人間たちを根絶やしにすると誓います。