1月26日は、ファミコン用ソフト『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の35周年記念日です。同作は初代ドラクエの発売から約8か月後というスピードで発売された作品で、そのスピードのあまりゲーム後半のバランス調整がままならない状態でリリースされたそう。
とくに、かの有名な凶悪ダンジョン「ロンダルキアの洞窟」と、そのダンジョンを命からがら抜け出た先に待つブリザードの無慈悲なザラキは強烈で、もはやプレイしていない方でもご存じなのではないでしょうか。最終盤だけでなく、マンドリルやドラゴンフライなど「心折れモンスター」が山ほどいる同作は、そんな凶悪さ“だけ”が知れ渡ったためか、バランスの悪い「面白くないドラクエ」という評価がされている面もあります。
そんな「鬼ムズドラクエ」について、私、ヤマグチクエストが今回お話しさせていただきたいのが、とくに不遇なポジションとして語られがちなサマルトリア王子です。「いやーさがしましたよ」という名セリフからも分かるそののんびりとした性格や、見た目のかっこかわいさも相まって、愛嬌あふれるキャラクターなのですが、たびたび「無能扱い」されていることでもおなじみ。
しかし、そんなことはまったくありません! むしろ、サマルトリア王子はパーティの核なのです! ということで、今回はサマルトリア王子の魅力について語っていきたいと思います。彼の評価とともに「面白くないドラクエ」の評価を見直していただくきっかけになれば幸いです。
■ムーンブルク王女にHPでもみのまもりでも負ける貧弱王子
本作の主人公とされるローレシア王子がいわゆる戦士タイプで物理攻撃しかできないのに対し、サマルトリア王子は回復・攻撃どちらの魔法も使える万能キャラ。後のシリーズをプレイした今振り返るとよっぽど勇者らしい性能に見えます。
そんなサマルトリア王子がお荷物扱いされてしまっている大きな理由が、彼の貧弱さにあるのではないでしょうか。
サマルトリア王子は、それなりのレベル上げで普通に進んでいると、魔法使いキャラで装備も貧弱なムーンブルク王女にHPの値で抜かれてしまいます。どこが勇者らしい性能なんだと思われてしまうかもしれませんが、彼はパーティで唯一蘇生魔法が使えるんですよね。これはやはり勇者であることに疑いの余地はありません。いつも一番最初に死にますが。
ちなみにHPだけでなく、みのまもりもムーンブルク王女に負けてしまいますが、装備がまだ豊富なのでギリ守備力では上回ることが可能です。
そんな貧弱な彼ですが、実はのんびり屋さんな性格を反映しているのか、レベル30付近から徐々に能力が伸び始め、レベルマックスの45では力が140まで到達するなどかなり見栄えが良くなります。ただ、レベルマックスまで上げるのは「やり込み」の域で、クリアレベルは30付近。なので、結局ファミコン版では最強武器が「てつのやり」だったり、スクルトをかけているうちに死んでしまったりなど、最後までイマイチ頼りにならない状態でクリアを迎えたという人がほとんどでしょう。
器用な能力を持っている反動で「強そうなのにいつまでも頼りにならない」「大事なときにいない」という印象を持たれてしまい、よりお荷物キャラという評価に拍車がかかってしまったのではないでしょうか。