■オリンピックで魅せたスーパープレイ!

 石崎はディフェンダーとして恵まれた体格をしているわけではなく、飛び抜けて技術面に優れているわけでもない。持ち前の根性だけが特長のプレイヤーかと思えば、実はそんなことはない。

『キャプテン翼 ライジングサン』の中で、石崎はU-23の日本代表に選出。マドリッドオリンピックの大舞台でシュナイダーのいるドイツと激突する。

 実は大空翼が小学生の頃に見せてくれた、鮮やかな「ヒールリフト」にずっと憧れを抱いていた石崎。何度練習してもチームメイトの前で成功することはなかったが、こっそりと秘密特訓を続けていた。

 そして石崎は、努力の結晶であるヒールリフトを世界中が見つめるオリンピックの大一番で繰り出す。これにはドイツ選手だけでなく、チームメイトすら驚かせ、見事に相手を抜くことに成功。ただし落ちてくるボールを見失い、顔面でトラップすることになったのが、いかにも石崎らしい。

 小学生の頃は自他ともに認めるヘタクソだったサッカー少年が、大空翼という天才的なスーパープレイヤーの背中を追いかけ、ひたむきな努力によって世界に通じる技術を身につけたことに感動させられるシーンだ。この地道な努力こそが、石崎の最大の武器であり真骨頂とも言える。

『キャプテン翼』には、大空翼を始めとする超人的な選手の華々しい活躍が描かれる一方、石崎了のように努力を重ねた選手の魅力もしっかり描写されている。そんなところが、いつまでも作品が愛され続ける大きな要因なのかもしれない。

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