『鬼滅の刃 遊郭編』竈門炭治郎の“急成長”のトリガー、のちの戦いでも「心を燃やし」続けた煉獄杏寿郎の影響の画像
画像は『鬼滅の刃』(集英社)第8巻・書影より引用

 2021年12月7日より放送開始となったテレビアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』。1月9日に放送となった第6話では、前回に引き続き遊郭に潜入した竈門炭治郎たちが上弦の陸・堕姫(だき)に立ち向かう姿が描かれた。

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 記事ではテレビアニメ放送以降の展開についてのネタバレを含んでおります。原作未読の方はご注意ください。

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 遊郭編で鬼殺隊は初めて上弦の鬼を倒すことになるが、十二鬼月の上位である上弦の鬼・妓夫太郎(ぎゅうたろう)を妹の鬼・堕姫と同時に倒す必要があり、柱の宇髄天元だけでは討伐することが難しい戦いとなる。無限列車編では炎柱・煉獄杏寿郎ひとりが上弦の鬼である猗窩座(あかざ)を相手にしたが、遊郭編では炭治郎、善逸、伊之助らも本格的に参戦。炭治郎においては天元とともに、妓夫太郎を相手にすることとなった。

 それまでの戦いで上弦の鬼の動きを追うことも困難だった炭治郎が、なぜ遊郭編では最前線で戦うことができたのか。この記事では炭治郎の戦闘能力が急成長した理由と、煉獄が彼に与えた影響について振り返りたい。

■炭治郎の額に炎のアザが出現した理由

 高い戦闘能力と実直な性格、カリスマ性を持った煉獄の命が鬼に奪われ、まったく戦力にならなかった自分に対しての歯がゆさを味わったことで、かまぼこ隊の心に火がついたのは間違いない。死別の悲しみから立ち直った後に、厳しい鍛錬を自身に課した3人は、剣士としてひと回りもふた回りも成長した。煉獄の存在が、剣士としての彼らのレベルを大きく引き上げたのだった。

 だが鍛錬を行ったからといって、人の戦闘能力が急に向上するわけではない。無限列車編で上弦の月にまったく手が出なかった炭治郎が、遊郭編では戦えるまでになった急激な成長は、心の高ぶりによって最大限に引き出された、呼吸法によるものだ。

 鬼殺隊の最大の武器は、身体能力と技の威力を高める呼吸だ。『鬼滅の刃』では体の傷を回復させ体力も無限にある鬼に対して、一方の人間は体力は消耗し、傷も蓄積していく有限の存在として対照的に描かれている。その人間が唯一無限に発揮できる力が、精神力だ。心拍数と体温を上げる心の高まりによって、全集中の呼吸を極限まで高めることができる。そうして現れるのが、遠い過去に無惨を追い詰めた始まりの呼吸の剣士にもあったとされるアザだ。

 無限列車編で、煉獄は「俺は俺の責務を全うする!!」と、最期まで迷いのない心で戦った。そして生命の炎が消えようというときに、炭治郎たちに「己の弱さや不甲斐なさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ。歯を喰いしばって前を向け」と言い残した。

 この言葉は後の戦いでも炭治郎の心の中で唱えられ続けるが、妓夫太郎と堕姫との戦闘でも、煉獄が残した言葉通りの戦い方をしている。劣勢を強いられ、窮地に追い込まれた中でも「諦めない」「絶対に斬る!!」と心を燃やし続けた。自分を鼓舞し続けたことで心拍数と体温が上がり、限界を超えた炭治郎の額には炎の形のアザが現れたのだった。

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