■木星帰りは伊達じゃない!?

 そしてシロッコは、カミーユのウェイブライダーにジ・Oのコクピットを貫かれて死亡したワケですが、パイロットとしての技量が劣ったり、油断したのかというと、まったくそんなことはありません。なぜならシロッコはウェイブライダーで突っこんでくるカミーユの動きを事前に察知し、しっかり回避行動をとろうとしていたからです。

 しかし、なぜかジ・Oはシロッコの操縦に応えませんでした。ジ・Oが動かなかった理由には諸説ありますが、直前にカミーユが死者の声を聞いていた描写から察するに、互いの機体に備えられた、サイコミュの概念を活用した“バイオセンサー”が何らかの不思議な影響を及ぼしたことが予想されます。

 それこそニュータイプとしてカミーユのほうが優れていたとの見方もできますが、ニュータイプ能力の優劣は、必ずしもパイロットとしての優劣を決めるものとは思えません。実際に劇中でもオールドタイプと呼ばれるパイロットがニュータイプを倒す場面も多々ありますからね。

 カミーユに匹敵するニュータイプ能力を有しながら、パイロットとしての卓越した技量を兼ね備えていたのがパプテマス・シロッコという男なのです。

■新兵器の対処で見せた「アムロ並みの技量」

 それではシロッコがパイロットとして、圧倒的な強さを示したシーンについて振り返りたいと思います。個人的に、とくにシロッコの優秀さを感じたのは『機動戦士Zガンダム』の第46話で描かれた戦いです。

 このエピソードでシロッコは、アクシズのハマーン・カーンと激突。このときハマーンが搭乗していた機体はキュベレイで、ガンダムシリーズにおいてファンネルが初使用された戦いでもありました。

 ファンネルとは、サイコミュを用いて遠距離攻撃を行う無線式のオールレンジ兵器のこと。シロッコは、初めて見たキュベレイのファンネル攻撃をいきなり回避してみせます。

 無線式のオールレンジ攻撃を“初見”で対処したパイロットといえば、エルメスのビットの攻撃を避けたアムロ・レイを思い出します。ちなみに巨大モビルアーマー・エルメスの放ったビットと、キュベレイの小さなファンネルでは全然サイズが異なります。しかもシロッコはその戦いの中で、初見の新兵器ファンネルを撃ち落とす場面もありました。

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