■青ざめるほどの驚異的な難易度
初代『ラリーX』のグラフィックは、現在の若者から見ればかなりショボく見えるかもしれない。だが、実際にやってみるとその難易度に青ざめてしまうはずだ。
マップに点在するフラッグの位置は、ゲームオーバーごとにリセットされる。それをレーダーで把握しつつ、自分が進むべきルートを脳内で即座に組み立てなければならない。
燃料を多く消費してしまうためポンポンと使える技ではないが、追尾してくる他車に煙幕を浴びせて一時的に足を止める、ということもできる。そもそもプレイヤーのクルマはお世辞にも燃費がいいとは言えず、しかも他車のほうが若干速度が速い。結局は巧みなドライビングテクニックと戦略がモノを言うゲームなのだ。
なお、『ラリーX』が稼働する半年前にはナムコから歴史的名作『パックマン』が登場している。この二者はシステム上の共通点も多いが、『ラリーX』はよりスピーディーゆえに瞬時の決断力と反射神経が求められた。それがさらに難易度を高くしていた、という事実は否めない。
1981年2月には難易度を抑えた『ニューラリーX』が稼働し、一般的にはこちらのほうが有名だろう。が、筆者としては辛口の初代を高く評価したい。
■ゲームオーバーでマップを覚える「やり込みゲー」
初代『ラリーX』は『アーケードアーカーブス』で配信がスタートしたが、実際にプレイしてみると恐ろしいまでの「やり込みゲー」であることが分かるだろう。何度もゲームオーバーになるうちに、自然とマップを覚えてしまう。そこから立ち回りやコツを手探りで身につけることで、気がついた頃には自分でも驚愕してしまうようなテクニックが備わっているのだ。
最近のゲームユーザーは「激辛難易度は必ずしも悪いことではない」ということを知っている。30年前はなかなか理解されなかった要素だが、それゆえに初代『ラリーX』は再評価されるべきゲームではないか。当時遊んだことがなかった人も、一度プレイしてみてはいかがだろうか。