■愛する息子を抱いてから死地へ向かうベジータ
続いては魔人ブウ編から、ベジータがトランクスに父親の顔を見せた名シーン。
初登場時から悪の存在として非道ぶりを見せてきたベジータは、ブウ編でもバビディの術にわざとかかり悟空と戦おうとする。ブルマとの間にトランクスを授かり、家族を作ったベジータだったがまたも悪の力を利用してしまい、それがきっかけで魔人ブウを復活させることになってしまう。
悟空との戦いを中断してブウに一人で立ち向かったベジータだったが、あまりの強さに歯が立たず。ベジータはトランクスに「ブルマを……ママを大切にしろよ……」と伝え、死を覚悟する。そして「トランクス……おまえは赤ん坊の頃からいちども抱いてやったことがなかったな」「抱かせてくれ」と恥ずかしがるトランクスを片腕だけで強引に抱き寄せると、そのままトランクスと悟天を気絶させ自爆攻撃に向かうのだった。
純粋な戦闘民族のサイヤ人であるベジータは、初登場時から強さにこだわり、ライバルである悟空を越えようと努力を続けてきた。そのベジータが初めて自分のためではなく、愛する人たちのために戦った。奮戦むなしく死んでしまう悲しいラストではあるが、最後にトランクスに見せた表情はまぎれもなく父親としての顔だった。