■“木星”を描いた背景にあるもの
ガンダムの作中において、エネルギー問題を解決した画期的発明が、ミノフスキー粒子の発見によって生まれた「ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉」です。モビルスーツや艦艇の動力源としてだけでなく、ありとあらゆる動力にその技術が活用されています。
それに用いられる「ヘリウム3」が地球の大気中からはほとんど採取できず、月面や木星の大気に大量に含まれているというのは、実はアニメのフィクションではなく、現実の話です。
初代ガンダムの放映が始まった1970年代は「木星へのフライバイ計画」によって多くの木星探査機が打ち上げられ、さまざまな新発見がもたらされた時代でもあります。こうした現実のリアルな要素を巧みにアニメ作品に取り入れ、作中の設定にリアリティや深みをもたせるあたり、原作者であり監督でもある富野由悠季氏ならでは、と言えそうです。