『機動戦士ガンダム』に登場したニュータイプのパイロット「シャリア・ブル」、『機動戦士Zガンダム』の「パプテマス・シロッコ」などは、作中で「木星帰りの男」と呼ばれています。それだけでなく『機動戦士ガンダムZZ』のラストでは、主人公ジュドー・アーシタとルー・ルカが木星に旅立つシーンも描かれていました。なぜ「木星」だったのでしょうか?
これらの例から、ガンダムシリーズにおいて「木星」が“重要な意味を持つ星”というのは何となく察することができます。戦争映画などで「○○帰り」といえば、激戦地を生き抜いた歴戦の雄を指す言葉としても使用されますが、ガンダム作品における「木星帰り」は少々異なるようです。
■「木星帰りの男」が担った超重要な任務
アニメ『機動戦士ガンダム』の第39話のナレーションの中で「木星帰りの男」というワードが登場するので、その場面を振り返ってみましょう。
このエピソードでジオン公国のギレン・ザビは、部下のシャリア・ブルに「木星のエネルギー船団を務めた、きみのデータは揃っている」と告げます。つまり木星船団とは「エネルギー船団」を指す言葉だと分かります。木星には、モビルスーツや艦艇に搭載された熱核反応炉を動かすために必須な燃料「ヘリウム3」が大量に存在し、それを採取するために長い年月をかけて木星まで向かったのが「木星船団」なのです。
シャリア・ブルやパプテマス・シロッコは、その船団を率いる大役をつとめ上げたため、「木星帰りの男」と呼ばれています。『機動戦士ガンダム』のシーンをもう少し深堀りすると、シャリア・ブルと謁見した際にギレン総帥は、貴重なヘリウム3を持ち帰った彼の功績について、さりげなく言及します。
このときギレンの口からダイレクトな称賛の言葉こそありませんでしたが、過酷な長期航行の末にジオン公国が戦争を継続するために欠かせない資源を持ち帰ったシャリア・ブルのことを、それなりに評価しているのは会話の雰囲気からも伝わってきました。