積極的に鬼になった黒死牟、死を待つだけだった堕姫&妓夫太郎…『鬼滅の刃』鬼たちが“鬼になった”悲しき事情は?の画像
積極的に鬼になった黒死牟、死を待つだけだった堕姫&妓夫太郎…『鬼滅の刃』鬼たちが“鬼になった”悲しき事情は?の画像

 吾峠呼世晴氏の漫画『鬼滅の刃』には、鬼殺隊の実力者である柱さえも倒してしまうほどの強敵の鬼が多く登場する。彼らは「血鬼術」と呼ばれる固有の技を使用し、多くの命を無情にも刈り取っていく。鬼にとって人間は弱い生き物で、食料でしかないのだ。

 そんな凶悪な鬼たちだが、鬼を生み出すことができるのは鬼の始祖である鬼舞辻無惨と、人間を鬼に勧誘することを認められている上弦の鬼だけ。それもすべての人間が鬼になれるというわけでなく、無惨の血を得ることで細胞が壊れて死に至る場合が多い。どれほどの確率かは不明だが、その血にうまく順応することでさらなる強さを獲得できるというわけだ。

 そんな無惨が鬼になった経緯は、平安時代にまでさかのぼる。産屋敷の血筋として病弱に生まれた無惨は医者から治療を受け「青い彼岸花」という薬で鬼になった。無惨すらも、自分の意思で鬼になったわけではないのだ。

 では、このほかの鬼たちが鬼になった理由はなんだろうか。大きく分けて、自らの意思で鬼になったものと、否応なく鬼にされたものがいる。

 まずは自ら志願して鬼になった例。上弦の壱・黒死牟はかつて弟の縁壱とともに鬼狩りとして活動していたが、痣の代償で余命わずかになってしまう。すべてのしがらみからの解放と、何をしてもかなわなかった弟・縁壱を超える力を求め、無惨の勧誘に応じた。

 また、善逸の兄弟子であった獪岳も自ら望んで鬼になった人間のひとり。彼は任務中に黒死牟に遭遇し、鬼殺隊でありながら命乞いをした。猗窩座の勧誘をすっぱりと断った煉獄杏寿郎が聞いたら怒ってしまいそうな出来事だが、ここまでのストーリーを読んできた読者にとって、恐怖心から鬼に屈してしまう感覚は十分に分かるはず。

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