■人間離れした“聴覚”を持つがゆえに?

 自分が善逸の無意識領域のシーンを見たときに感じたのは、善逸の超人的な“聴覚”が関係しているのではないか……という点だ。というのも、この時点の善逸が剣士として真価を発揮するときはつねに眠った状態で、目を閉じたまま戦う。このとき頼りにしているのは当然視覚ではなく、聴覚なのだろう。

 そして聴覚だけで戦うのは“無意識状態の善逸”だ。それならば我妻善逸の“無意識”を示す場所が視覚を必要としない暗闇であるのは必然なのではないだろうか……というのが個人的な見解だ。

 実際アニメで描かれた無意識領域の善逸は、暗闇にもかかわらず少年を追いかけ回し、雷の呼吸を使用したようなエフェクトも見られた。このあたりも「現実で眠ったまま戦う善逸=無意識領域の善逸」と推察した要因だ。

 前述した通り、善逸や伊之助の「無意識領域」の場面はギャグ的なシーンなので、描写自体にそこまで深い意味や意図は存在しないのかもしれない。だが読者や視聴者の立場からすると、ささいなシーンを掘り下げて考察するのは楽しいし、想像もしなかった解釈が聞けたりするのもとても面白い。

 

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