■ジェガン最強の機体も時代の波には勝てず!?
ガンダムの映像作品内にて実戦配備されたジェガンの姿が描かれた、おそらく一番最後(作中の時系列的に)の作品にあたるのが映画『機動戦士ガンダムF91』だ。宇宙世紀0123年が舞台なので、ジェガン初登場の『逆襲のシャア』から30年以上が経過していることになる。
それだけ長期運用されてきたジェガンという機体の優秀さが証明されるのと同時に、細かい改修が行われているとはいえ、敵軍の機体との性能差を感じさせられる内容だったのは否めない。
その象徴ともいえるシーンが『ガンダムF91』の冒頭にあった。大型のバックパックや脚部スラスターを備えた「ジェガンR型(Aタイプ)」が登場するのだが、コロニーを襲来したクロスボーン・バンガードの「デナン・ゲー」によって一方的に蹂躙。頭部が蹴り飛ばされ、ジェガンの頭が宙に舞うという衝撃的なシーンが描かれていた。
このジェガンR型は、ジェガンのバリエーションの中でも総合性能がもっとも高く、高機動であることが『ガンダム辞典』(講談社刊)で明かされている。その点からもジェガンタイプの基本設計が明確に時代遅れであることを実感させられた、なんとも悲しいシーンでもあった。
ガンダムタイプなどの主力機体の活躍がカッコいいのはもちろんだが、その陰にいる量産機は戦争モノを描く上で必要不可欠な存在といえる。極力ムダを省いたシンプルな造形に魅力を感じ、細かいバリエーション機のプラモばかりを買ってしまう、自分と同じようなファンは少なからずいることだろう。
ジェガンのような量産機は、主役機や敵軍の強さを引き立てる役割になることが多く、あまり報われない存在だからこそ一部のファンから愛され、わずかな活躍シーンに魅了されるのかもしれない。