■煉獄杏寿郎の所作から想像できるもの

 また煉獄杏寿郎が納刀するまでの一連の動作が父とうり二つだった点から、さまざまな物語性を感じる。かつて槇寿郎は、2人の息子たちに熱心に剣の稽古をつけていた。しかし、訳あって槇寿郎は剣士を辞めて酒に逃げ、息子たちにツラく当たるようになる。

 それでも杏寿郎は諦めず、ほぼ独学で「炎の呼吸」を会得し、父と同じ炎柱にまで上りつめた。おそらく弁当屋のおばあさんが父と息子を見間違えるほど、ぴったり同じ動きだったのは、槇寿郎の指導によるものではなく、杏寿郎が自分で身につけたと考えるのが自然だろう。

 煉獄杏寿郎は亡き母・瑠火に与えられた言葉を胸に秘めて戦っているが、実戦での動きは父・槇寿郎をお手本にしていたことが第1話のシーンからうかがえる。炎柱として最前線で戦っていた父に憧れ、幼い頃からずっと目に焼きつけていた証なのかもしれない。

 このほか全7話で描かれるテレビアニメ『無限列車編』には、約70カットもの追加映像が存在するという。今後のエピソードにもいろんな注目シーンがありそうなので、そちらからも目が離せない。

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