すぎやまこういち氏による「ドラクエの神曲」4選 ファミコン世代に刻まれた「そして伝説へ」「Love Song探して」等の旋律の画像
CD『交響組曲 ドラゴンクエストIII』ジャケットより引用

 作曲家のすぎやまこういち氏(本名:椙山浩一)が9月30日、敗血症性ショックのため90歳で亡くなられたことが発表されました。『ドラゴンクエスト』シリーズのゲーム音楽を手がけられたことは多くのゲームファンの知るところですが、歌謡曲から『伝説巨神イデオン』や『科学忍者隊ガッチャマン』(劇場版、II)などのアニメ作品、そして東京競馬場や中山競馬場のレースで使用されているファンファーレなど、とても幅広い分野で活躍された偉大な作曲家でした。

『ドラゴンクエスト』シリーズのオーケストラコンサートでは精力的にタクトを振るい、2016年には「世界最高齢でゲーム音楽を作曲した作曲家」としてギネス認定。また今年開催された東京五輪では、開会式の入場行進曲として『ドラクエ』の『序曲:ロトのテーマ』がテレビから流れた瞬間、多くのゲームファンが沸いたのも記憶に新しいところです。

 幼い頃からゲームとともに育った私にとって、すぎやま氏といえばやはり『ドラゴンクエスト』シリーズの楽曲抜きには語れません。とくに夢中になってプレイしながら聴いた、ファミコンスーパーファミコン時代の曲は印象深いです。そんなすぎやま氏が生み出したドラクエの曲の中から、個人的に忘れられない名曲を振り返ってみたいと思います。

■東京五輪でも感動! ゲーム音楽の枠組みを越える神曲

『ドラクエ』の曲の代表格といったら、やはり東京五輪にも使用され、主にタイトル画面やオープニングムービー等で流れる『序曲』でしょう。もはや「ドラクエの曲」という範疇すら飛び越えて、ゲーム音楽の象徴的な1曲といえるかもしれません。

 シリーズごとにいろんなアレンジが加えられて曲名も微妙に異なったりしますが、イントロのファンファーレを聴くと妙な安心感が得られ、「ドラクエに帰ってきた」という感覚になります。それでいて、これから冒険に出るというワクワク感がかきたてられる、まさに最高のテーマ曲ではないかと思います。

 そして戦闘時の曲の中では『ドラクエIII』のラスボス、ゾーマ戦で流れる『勇者の挑戦』が忘れられません。ゾーマと対峙する緊迫感とバトルの疾走感の2つを見事に表現した名曲で、ゾーマの強さもあいまって、この曲を聴くと“ヒリついた感覚”がよみがえります。

 今でも聴きなおすたびに「ここで“いてつくはどう”は勘弁。バイキルトを返せ」「賢者の石にお世話になったなぁ」など、当時苦労しながら何度も挑戦したことを思い出しますね。

 また次点を挙げるなら『ドラクエIV』のモンバーバラの姉妹の戦闘曲『ジプシーダンス』です。かなり独特の旋律のバトル曲で、初めて聴いたときに「すぎやま先生はすごいなぁ」と実感させられた曲でもあります。

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