■ガンダムらしからぬラストシーン?
脱走者を追ってきたザクをなんとか退けたドアンだが、「私がいる限り、この子どもたちにも危険がつきまとう」と悲観的な言葉を口にする。それを聞いたアムロは「違います、あなたがいるからじゃありません」「あなたの体に染みついている戦いの匂いが追跡者を引きつけるんじゃないでしょうか」と諭し、ガンダムを使ってドアンのザクを海中に投棄した。
このアムロの突然の行動に子どもたちが怒りを見せる中、ドアンは「あのお兄ちゃんのやったことは、とても良いことなんだよ」と笑みを浮かべ、戦いから逃れられなかった苦悩から解放されるという筋立てとなっていた。
戦争が生み出した悲劇と苦悩からの脱却を描いたラストシーンはさわやかで、とても感動的なものだった。ただ、この結末は『機動戦士ガンダム』のシナリオとしては異色で、ともすると従来の“勧善懲悪”ロボットアニメのように感じられる場面でもあった。
それと個人的には、このエピソードにおける、やけにアクティブで聡明なアムロのキャラクター像に違和感を覚えたことも否めない。
■作画崩壊だけじゃない? 実は見どころが満載!
さらに第15話が、ファンの間で“ネタ的”に語り継がれている理由の一つが、他のエピソードとクオリティが異なる不安定な作画だ。
とくにククルス・ドアンの搭乗するザクは妙にスリムに描かれ、ガンダムも場面によっては少々いびつに描かれている。また、ドアンの乗るザクは武器を持たないのも独特。格闘戦以外の攻撃手段が「岩を投げること」だったのはなんとなく怪獣的で、ガンダム以前の巨大ロボットアニメの「やられメカ」のような印象を受ける。
そんな作画面の気になる部分はさておき、ザクの格闘シーンやガンダムのAパーツ・Bパーツの分離・ドッキングなどは、ガンダムファンなら見逃せない貴重なシーン。とくに「ザクvsザク」のアツいバトルは、このエピソードでしか見られない。