2022年に安彦良和が映画化『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』テレビ版屈指の珍エピソードが「見どころ満載」なワケとは?の画像
画像はDVD版『機動戦士ガンダム』1巻パッケージより引用

 9月15日に実施された「第2回 ガンダムカンファレンス」の中で、ガンダムシリーズの最新情報が発表。その1つが2022年公開予定の映画『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』だ。安彦良和氏が監督を務める映画『ククルス・ドアンの島』は、テレビ版の第15話に描かれた同名のエピソードにフォーカスを当て、新たな切り口で描く作品になるという。

 もともとテレビ版の第15話「ククルス・ドアンの島」は、総集編的な意味合いの強い過去の「劇場版」にも収録されていない1話のみのエピソード。メインストーリーとはかかわりのない局地的な話で、良エピソードと支持されている一方、一部ファンの間では「ネタ扱い」されている部分もある。

 そんな「ククルス・ドアンの島」を、『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインや、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のコミックスやOVAの総監督を務めた安彦良和氏が再構築。2022年に劇場公開されるという発表に驚いた人も多いのではないだろうか。

 ちょうど良い機会なので、テレビ版の「ククルス・ドアンの島」がどんなエピソードだったのかを振り返ってみたいと思う。
 

※もしテレビ版の15話を未視聴で、このエピソードのネタバレが気になる方はあらかじめご注意いただきたい。

■「脱走兵」の苦悩を描く重厚なテーマ

 テレビ版の第15話冒頭、ホワイトベースは連邦軍機からの緊急信号を受信する。訓練中だったアムロ・レイがコア・ファイターで発信地点の島へと駆けつけるが、そこには重傷を負いながら拘束された連邦軍兵士の姿があった。

 そして突然投石による攻撃を受けるアムロ。なんとアムロを襲ったのは、島の住民らしき幼い子どもたち。それと同時に海側からはジオン公国軍のモビルスーツ、ザクが出現。ところがザクに乗ったパイロットはアムロを攻撃せず、島から立ち去るように伝えるのみだった。

 実はザクに乗った男の正体は、ジオン軍の脱走兵「ククルス・ドアン」。戦闘中、自分の流れ弾で市民を殺してしまい、軍はその子どもたちも殺すように命じる。しかしドアンはその命令に従うことができず、自責の念に駆られて軍を脱走したという過去を持つ。

 それ以降、ドアンは孤島で子どもたちを守りながら自給自足の日々を送り、島にやってくるジオンの追手と戦い続けていたのである。

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