■現実の「宇宙軍」部隊は空軍が管轄
ホワイトベースが地球連邦軍において「強襲揚陸“艦”」と呼ばれるだけでなく、女性兵士がアメリカ海軍式に「ウエーブ(WAVE)」と呼ばれていることからも、どうやら連邦の宇宙軍は「海軍」、もしくは「海兵隊」の流れを汲んだ組織なのだと想像できる。
ただし現代に実在する「宇宙軍」は、そのほとんどが「空軍」管轄の組織なのが実情。日本の「宇宙作戦隊」も航空自衛隊にあり、その流れでいくと『ガンダム』の中でも女性隊員の呼称は「ウエーブ」ではなく「ワッフ」とするのが正しくなってしまう。
とはいえ現実の世界に「宇宙軍」が創設されたのは1982年、アメリカ空軍に「宇宙軍団」が設置されたのが最初。これはテレビ版『機動戦士ガンダム』の放送開始から3年ほど後のことだ。自衛隊の「宇宙作戦隊」に至っては、昨年の2020年に誕生したばかりの組織である。
初代ガンダムの放送が始まった1979年当時は、まだ宇宙専門の軍隊の設立など空想の世界に過ぎなかったのだから、海軍をベースに設定されていてもなんら不思議はない。逆に劇中にこうした現実に存在する専門用語を違和感ない程度に用いたことで、アニメに描かれていない軍の成り立ちまで妄想させてくれるのだから、ファンにとっては素晴らしいエッセンスに思えてならない。