■「所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ」
こちらは幼い頃、血のつながりがない家族から虐げられていた瀬田宗次郎に対し、志々雄真実が伝えたセリフだ。身も蓋もない言葉ではあるが、過酷な動乱の時代においてはある種の正論であり、実際にこの言葉を胸に宗次郎は剣心に匹敵するほどの強さを身につけることになる。
この志々雄の言葉は「不殺(殺さず)の誓い」を立て、弱者を守る戦いを続けてきた剣心とは異なる考え方とも言える。しかし、生死の部分を“成功”や“失敗”に置きかえると、言葉の良し悪しは置いておいて、現代の競争社会にも当てはまりそうな言葉でもある。
■「悪・即・斬」
これは新撰組三番隊組長・斎藤一にとっての信念とも言える言葉。その内容は、文字通り「悪は即座に斬る」というもので、斎藤は「それが新撰組と人斬りがただ一つ共有した真の正義」と語っていた。
その斎藤は「犬はエサで飼える、人は金で飼える、だが壬生の狼を飼う事は何人にも出来ん」と言っていたように、私利私欲では絶対に動かないという確固たる信念があってこそ成立する考え方と言えるだろう。
誰が相手であろうと己の信じる正義のもとに行動を貫く斎藤一の姿勢は、たまらなくカッコいい。だが、これは警視庁の優秀な密偵である斎藤だからこそ、善悪を正しく見極められる能力があったことも重要なポイントだ。
現代においては「悪・即・斬」のような考え方は、一つ間違えると冤罪を生んだり、私刑につながりかねない。とはいえ、斎藤一のようなまっすぐな生き方に憧れを持つ人は多いのではないだろうか。