■リトルリーグで生まれたベストゲーム!

 続いて紹介したいのは、満田拓也氏による野球漫画『MAJOR(メジャー)』での大番狂わせ。主人公・茂野吾郎の半生を描いた長編漫画だけにベストゲームと呼べる試合はたくさんあるが、中でも印象的だったのは小学生の頃のドラマチックな一戦だ。

 当時、小学4年生だった吾郎(当時は本田吾郎)が在籍した「三船リトル」は9人の選手しかいない弱小チーム。その上小森大介が手を負傷し、女子選手の清水薫が急遽キャッチャーを務めることになる。

 一方、吾郎の幼なじみである佐藤寿也が所属する「横浜リトル」は全国優勝の経験もある強豪。選手層は厚く、高校生チームを相手に圧勝するほどの実力があった。

 リトルリーグ秋季大会で、三船リトル対横浜リトルが実現。ミスにつけこまれた吾郎は初回いきなり9失点を喫するが、三船リトルも負けじと反撃。横浜リトルのエースを打ち崩し、すぐに7点を取り返した。

 さらに横浜リトルのキャッチャーが寿也に変わると、吾郎のほうも隠していた変化球「チェンジアップ」を使用。一転して締まった投手戦となるが、最終回に手を痛めている小森の懸命のタイムリーで三船リトルが同点に追いつく。

 延長に入ると横浜リトルの監督は非情な采配で吾郎のスタミナを奪っていき、交代投手のいない弱点を突く。肩が壊れる危険を承知しながら、それでも吾郎は続投。横浜リトルの4番打者を相手にこの日最速のストレートを投げこみ、空振り三振に抑えた。

 そして、その裏の攻撃で吾郎のサヨナラランニングホームランが飛び出し、三船リトルはまさかの劇的勝利。しかし、この試合での無理がたたり、吾郎は肩を壊してしまう。

『MAJOR』の名勝負といえば、聖秀学院高校時代の海堂との試合や、アメリカに渡ってからギブソンJr.と戦ったワールドシリーズなども思い出すが、個人的には一番感動したベストゲームとして、この横浜リトル戦を推したい。

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