■夢見町とセントルイスの「類似点」
その他にも犬に追い駆けられながらも入賞した選手、熱中症で倒れるも長時間救助されなかった選手、日付を間違えて競技自体に参加できなかった選手もいたそうだ。
このカオスな光景は、セントルイスオリンピックから86年後に発売された『それゆけ大運動会』によく似ている。時系列から言えば『大運動会』がセントルイスオリンピックに似ている、と書くべきか。
『大運動会』で対戦プレイが一番盛り上がる「夢見町クロスカントリー」は、4人の選手がパンチやエルボー、そして道に落ちている鉄アレイやメリケンサック、木刀、タイヤなどを使って凶器攻撃を繰り出しながら町内を力の限り駆け抜ける内容だ。体力回復に使うビタミンドリンクが道中に落ちている点も、ヒックスがストリキニーネを飲んだ場面とそっくり。このゲームではもちろん1着になるのが目的だが、その間にライバルをノックアウトしてしまってもかまわない。
さすがにゲームのように民家の中や下水道を通るなんてことはないが、コースの途中、凸凹だらけの道を進むあたりもセントルイスオリンピックと酷似している。セントルイスでもコースは舗装されておらず、先行する車両が巻き上げる砂ぼこりに選手は悩まされたとか。いずれにせよ、「アスリートファースト」のかけらも存在しないコースを走らされる点は共通している。