■ファミコン時代のマリオたちがスーファミタッチに

『スーパーマリオコレクション』より

 ところが、『スーパーマリオコレクション』がそれを不要の行為にしてしまった。これがいかに胸躍ることか。しかも『スーパーマリオコレクション』に入っている4タイトルは、ただの再収録ではない。グラフィック、音楽ともに大幅に進化を遂げていたのだ。ファミコン時代のマリオが、今風のスーファミタッチのグラフィックになっていて、音楽もスーパーファミコンサウンドにアレンジがされていた。にもかかわらず、操作感がオリジナルとほとんど変わらなかったのが感動的だった。

『スーパーマリオコレクション』より

「操作感が変わらない」というのは、きわめて大きなポイントだろう。名作をリメイクしたソフト、というのは時として致命的な失敗を犯してしまう。いろいろと凝り過ぎたがゆえに、オリジナルの操作感が大きく損なわれたというパターンがしばしば見受けられる。しかし『スーパーマリオコレクション』に限って言えば、そのようなことはいっさいなかった。

『スーパーマリオブラザーズ』をプレイするにしても、ステージ構成はおろかジャンプの力加減もダッシュの速度もオリジナルのそれと大差ない。中身はほぼそのままなのに、グラフィックと音楽は『スーパーマリオワールド』並みの豪華さに。ファミコン時代と同じ操作感で遊びながら、まったく違う印象を与えるゲームになっていたのだ。

『スーパーマリオコレクション』より

 それだけではなく本作ではセーブ機能が実装されていたのも大きかった。『マリオ3』などは特に、ファミコン版では笛を使ってワープしないと1日のゲーム時間中にクリアをすることなど無理だったが、セーブができるようになったことで各ステージをじっくりと楽しむことができた。さらにディスクシステム用ソフト『マリオ2』も収録されており、本作で初めて『2』の難易度の高さを味わった子どもも少なくなかったはず。

『スーパーマリオコレクション』より

 ファミコン時代の10年間のマリオの道のりをスーファミの技術でギュッと詰め込んだ『スーパーマリオコレクション』。昨年9月にはスーパーマリオブラザーズ35周年企画のひとつとして、Nintendo Switch Onlineへの配信もスタートした。この機会に、当時の子どもたちが衝撃を受けた“スーファミ版のファミコンマリオ”を楽しんで見るのも良さそうだ。

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