■聖地巡礼が二次元体験を可能にした

 そしてもう一つが“二次元への体験”なのだと思う。

 作品の中に入りたい!行ってみたい!という、人間の三大欲求の次にこの世でもっとも基本的な“欲”を満たしてくれるのが「聖地巡礼」という“体験”なのだ。

 アニメの中でキャラクターが見たであろう景色と同じ景色が、自分の目にも映る。こんなにうれしいことはない。作品の視聴だけでなく、実際に聖地に行くことで五感を使って作品を楽しめる。「アイツもここを歩いたかな」「あの子もこの匂いを嗅いだかな」そんなことを考えながら二次元への体験に没頭できるのだ。

『エヴァンゲリオン』も第3新東京市という箱根あたりの架空の都市が舞台になっている。昔イベントで、このシンジくんたちが暮らす第3新東京市の住民票がもらえる企画があった。これは二次元への入り口に違いないと私は参加を即決。確かに住民票な素材の紙に、正式な手続きを踏んだっぽい感じのあれこれと自分の名前が印刷されたものを手に入れ、無事に第3新東京市の住民となることができた。今のところ「月の土地権利書」的存在のグッズだが、いつか本当に第3新東京市が誕生した際に効力を発揮すると信じて大切に保管している。

■行くのは不可能だと思っていた世界へ遊びに行ける

 たとえば某夢の国など、作品の世界を再現したテーマパークはまさに“体験”の極み。作品世界に包まれる楽しさは、まさに二次元とつながったと言えるだろう。しかし、一つの作品をあの規模で二次元世界に再現して作ることはなかなか難しい。

 だが、先ほど紹介したアニメのように、初めから実際に存在する場所を作品の舞台にすれば、わざわざ再現テーマパークを作る必要はない。もともとあった土地なのに、作品を知っている者だけに見える“もう一つの世界”が生まれてしまうのだ! 認識の不思議!! そこに行けば作品と同じ世界が広がり、“二次元への体験”を誰でも簡単に楽しむことができる。

 作品由来のライブやコスプレなど、アニメの体験的楽しみはどんどん幅を広げている。聖地巡礼は私たちにとって、二次元への入り口の一つと言えるだろう。私が観光大使を務める千葉県南房総市を舞台にした作品がいつか登場したら、ツアーを組んで聖地巡礼を斡旋したい。

  1. 1
  2. 2
全ての写真を見る