■強敵アイアンナックに苦しめられた子どもたち

『リンクの冒険』より、めちゃ強だったアイアンナック

『ゼルダの伝説』シリーズの共通点として、「体力満タン時に出せる剣ビーム」がある。『リンクの冒険』でもこの技はあり、遠くの敵までピュンピュンと攻撃できる非常に便利な飛び道具だった。ただ、1発でもダメージをくらってしまうとこれが出なくなる。

 剣ビームがただの剣になってしまうわけだが、その剣とやらがまるでナイフのような頼りなさなのだ。どうしてそんな短い剣しか用意できなかったんだ、リンク!? おまけに剣の振りが微妙に遅く、敵の動きのほうが早いなんてこともしばしば。あらかじめ敵の動きを予測して、それに合わせて剣を振るう必要があった。

かなり懐に飛び込まないと届かない剣

 スライムのような敵からガイコツのような敵など、いろいろなザコ敵が登場するが、モンスターの中にはリンクとほぼ同様のアクションを自在に使いこなす「アイアンナック」という強敵がいた。のちのシリーズにも登場してリンクを苦しめてきたアイアンナック。『リンクの冒険』では重たそうな鎧を身につけた騎士。盾による的確な防御と、上下段の剣斬りを繰り出すことでガシガシとハートを削ってくる。さらに青色のアイアンナックは前述の剣ビームまで使ってくるのだ。

 非常に厄介な敵で、アイアンナックに敗北して涙を飲んだ子どもが後を絶たなかった。てか、こいつマジで強い!

 しかしこのアイアンナックは、見方を変えれば異色作だった『リンクの冒険』を名作にした最大の功労者とも言える。彼のような能力の高い敵がいてこそ、このソフトが手ごたえのあるアクションゲームになったのだ。

■立ち回りを覚える

ほどよいムズさにやりごたえを感じる名作

 強敵を倒すには、ただのゴリ押しではいつまでたっても防御されてキリがない。敵の動きをよく観察し、その弱点を探す必要がある。リンクが死ぬとパロメータが下方修正されるが、強敵に何度も挑戦して立ち回りを体に叩き込むのが『ゼルダ』シリーズ。「ダンジョンの謎解き」ではなく「主人公の剣技」に重きを置いた異色のゼルダではあるが、今作もまぎれもないシリーズの継承作なのだ。

 11月に発売となるゲーム&ウォッチに収録される『リンクの冒険』。ポケットに入れて外出先で、強敵たちに挑むのは面白そうだ。

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