■最期はライバルの腕の中で……
ハドラーとポップが魔界の炎に包まれる寸前、死んだと思われていた勇者アバンが登場。魔界の炎を消し去る。アバンに救われたハドラーだが、その命はまさに尽きようとしていた。アバンの腕に支えられたハドラーは、かつてのライバルにこう語りかける。
「…素晴らしかったぞ お前の残した弟子たちは…!」「オレの生き方すら変えてしまうほどにな…!!」と、ダイやポップたちのことを称賛。
さらにハドラーは「…お前の力で…ダイたちを勝利へ導いてやってくれ…!」と告げると、アバンは無言でうなずいた。
そしてハドラーは、最後にポップにこう伝える。
「おまえたち人間の神というのも…中々粋なやつのようだぞ…」「オレの…生命とひきかえに……オレがかつて奪った大切な者を…おまえたちに返してくれた……」
アバンの腕の中で、消えるように死んでいったハドラーの最期の言葉は「そのうえ……オレの死に場所を…この男の腕の中にしてくれるとは…な…!」というものだった。
■勇者の仲間と同じように成長した男
物語の序盤は、敵である魔王軍の総司令官として、邪悪で非道な行いを見せていたハドラー。しかし、物語が進むにつれて偉大な好敵手と出会い、信頼できる仲間も得たハドラーは、勇者一行に負けないくらいのすさまじい成長を遂げた。それは強さだけでなく、人間性においても。
『ジャンプ』を代表する名作『北斗の拳』では主人公ケンシロウの好敵手・ラオウの死が大きな感動を与えてくれたが、個人的にはハドラーの死の場面もそれに負けないくらい感動的な名シーンに思えた。