■最終決戦ではニュータイプ専用機「バウンド・ドック」に搭乗

 ハイザックのあと、「ガルバルディβ」「マラサイ」「ガブスレイ」「バイアラン」、そして「バウンド・ドック」と5つの機体を乗り継いだジェリド。さまざまな機体に搭乗してエゥーゴと戦うが、いずれも敗北。さらには親友のカクリコン、宇宙での戦い方を教えてもらったライラ、恋人のマウアーも倒された。カミーユとの因縁が深くなりすぎたジェリドは、「カミーユを倒さないかぎり、一歩も前に進めない男になっちまった」と漏らすのだった。

 最終決戦でジェリドは可変モビルスーツ「バウンド・ドック」に搭乗する。これは地球連邦軍が開発したサイコミュ・システムを搭載したニュータイプ専用機で、ジェリドの他には強化人間のロザミア・バダムや、ゲーツ・キャパらが搭乗。楕円形のボウル型のボディに爪のついた細長い腕がデザインの特徴で『機動戦士ガンダムZZ』の第1話「プレリュードZZ」でのクワトロ・バジーナの解説によると、「マニアの中にはこのモビルスーツが一番美しいという人もいる」という。

 ジェリドがニュータイプかどうかは作中で明言されていないが、一時はカミーユのZガンダムを追い詰めたこともあった。しかし、反撃を受けて戦艦ラーディッシュの爆発に巻き込まれる。完全にニュータイプとして覚醒したカミーユに対して一矢報いることはできず、ついに戦死。最後のセリフは「カミーユ! 貴様は俺の……!」だった。

 ひとつの作品でもっとも乗り換えが多かったパイロットはジェリドだが、突出して能力があったようには見えない。しかし、カミーユに対する執着が生へのしぶとさとなり、運も含めて生き残る強さになったのではないだろうか。次々と新型機を与えられるのはパイロットとして誇りかもしれないが、一方で次々と大事な人を失ったジェリドはガンダム史上もっとも不運だったと言えるのかもしれない。

 現在公開中の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主人公ハサウェイも、前作から乗り換えてΞ(クスィー)ガンダムを操る。反地球連邦軍の立場で戦うハサウェイは幸せな結末を迎えるのか否か、劇場で確かめたいところだ。

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