■黒の組織内における男女模様

 コナンたちと敵対する「黒の組織」のメンバー間にも、意味深な関係を示唆する描写があった。それは黒の組織の幹部の1人である美女ベルモットと、実行部隊のリーダー的な存在のジンの二人。

 とあるナイトクラブでお酒を飲んでいるジンとウォッカの席に、一人の店員がドライマティーニの入ったグラスを運んでくる。ジンは、この店員がベルモットの変装だとすぐに看破。するとベルモットはジンの肩に手を置き、「ねえ、そんな事より…どう? 今夜」「久し振りにマティーニでも作らない?」と語りかけた。

 この「マティーニ」というのは、お酒のジンとベルモットを混ぜ合わせて作るカクテルのこと。つまりベルモットがジンに対し、暗に夜の誘いをかけているようにも受け取れる場面だった。しかもベルモットの「久し振りに」という部分から、これが今回だけの出来事ではないことも推察できる。

 恋愛描写やそれに類する具体的な発言はなかったものの、なんとなく大人の男女関係を連想させる珍しいシーンと言えるだろう。

■阿笠博士にも恋バナが…!?

 最後に紹介するのは風変わりな発明家・阿笠博士の初恋にまつわるエピソード。そのお相手は、作中にときどき登場する有名ブランド「フサエブランド」の創始者フサエ・キャンベル・木之下という美女だ。

 40年前、阿笠と同じ小学校だったときに仲良くなった二人。ハーフであるフサエは、当時自分の金髪がコンプレックスだったが、阿笠に「ボクは好きだよ…イチョウの葉っぱみたいできれいじゃない!」と褒められたことで心が救われる。

 その後フサエは引っ越してしまうが、阿笠に10年ごとに思い出の場所で会いたいことや、その場所のヒントが書かれたハガキを送る。しかし、阿笠はこのヒントが解けずに再会はかなわなかったが、コナンたちの協力によって二人は40年ぶりの再会を果たした。

 阿笠がコナンたちを連れていたため、彼が結婚していると勘違いしたフサエ・キャンベルはとっさに素性を隠したが、別れ際に阿笠博士が「今でもイチョウは大好きですよー!!!」と告げたことで、近い将来に再会を匂わせるようなラストシーンも印象的。お互い初恋の相手を40年間も想い続けていたという、とても感動的なエピソードだった。

『名探偵コナン』はさまざまな難事件を解決していく推理漫画ではあるが、随所に登場するラブコメ的な展開や、ほっこりするエピソードも見どころの1つ。ほかにもいろんな恋愛エピソードが描かれているので、気になる方はこれを機にコミックを振り返ってみよう!

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