■読者に過酷な世界観を印象づけた家族の死

 第2位にランクインしたのは主人公・竈門炭治郎の母と弟妹だった(13.0%)。

 原作、アニメともに第1話で残酷な死を迎えた炭治郎の家族が2位に選ばれた。父が病死した後、一家の大黒柱として家族に楽をさせるためにまじめに働いていた炭治郎はその日も炭を売りに出ていたが、帰り道で知り合いの老人に引き止められ素直にその家に泊まることに。翌朝炭治郎が家に帰ると母と4人の弟妹は何者かによって惨殺され、唯一生き残っていた妹の禰豆子も人食い鬼に変貌させられていた。

 長く暮らしてきた家の壁や障子に家族の血がべっとりとこびりついた様子や、なすすべなく殺されてしまった家族の痛ましい姿など、慎ましくも幸せな日常が一気に崩れ去るという残酷な描写に1話目から驚かされた読者が多かったようだ。

 選んだ人からは「第1話を読んで、すごい漫画が始まったと驚いた」(33歳・男性)、「自分だったら、と思うと涙が出てくる」(45歳・女性)、「あまりにも炭治郎がかわいそうで見ていられない」(19歳・女性)、「ジャンプ史上、忘れられない第1話だった」(40歳・男性)というコメントが寄せられた。

 雪深い日に炭治郎が炭売りに出かけたのが「正月に家族に腹いっぱい食わせてあげたかったから」という理由や、弟妹たちも最後まで炭治郎に一緒についていきたがっていた様子、炭治郎が町の人たちの手伝いをしていたので帰宅が遅くなってしまったところなど、こまかな設定やセリフがさらに涙を誘う。物語を象徴する残酷なシーンだといえるだろう。

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