■相手の裏をかく選手入れ替え詐欺テニス

 続いてはコミックス24巻で描かれた、立海大附属が見せた「詐欺テニス」。

 関東大会決勝で青春学園とぶつかった昨年の覇者・立海大付属。第2試合のダブルス戦で大石・菊丸ペアと戦ったのが、“ジェントルマン”の異名を持つ柳生比呂士と、“コート上のペテン師”の異名を持つ仁王雅治のペアだった。

 柳生は横分けの髪型にメガネをかけた、いつも丁寧な言葉使いをする紳士的なキャラクターで、ベースラインから超スピードのパッシングショットを放つ「レーザービーム」の使い手として知られていた。この試合でも中盤から「これにて遊びは終わりです」と目にも止まらぬ速さのレーザービームを使い始め、大石と菊丸の間を次々と撃ち抜いた。

 青学ペアも負けてはおらず、菊丸が持ち前の動体視力を生かして対応するが、ようやく柳生のレーザービームのスピードに目が慣れたと思った矢先、コートの予想外の角度から“もう一本の”レーザービームが飛んできたのだ。

 実は柳生とペアを組む「仁王雅治」という男は、他人のプレイスタイルや必殺技まで完璧に模倣することで「コート上のペテン師」の名で恐れられる人物だった。この日はしゃべり方やレーザービームのコピーだけでなく、髪色やメガネまでも柳生をコピーし、変装レベルの前準備をして試合に臨んでいた仁王。これまで青学ペアが柳生と思って戦っていたのは実は“ニセ柳生”の仁王で、そこに本物の柳生による本家レーザービームが繰り出されたというわけだ。

 偽物と本家の2本のレーザービームの前になすすべもなく、試合は6-4で立海大附属の勝利となった。立海大付属の主将・幸村精市から「悪魔をも騙せる男」と一目置かれる仁王。『新テニスの王子様』でも大活躍で、彼が登場するたび読者は驚愕させられる。

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