■アクシズで起こった奇跡の要因に?
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したのが「サイコフレーム」という技術。ロンド・ベルのメカニックであるチェーン・アギが、アナハイム・エレクトロニクスの技術者から提供された、T字型の「サイコフレーム」のサンプル品を腰につけていたシーンが印象深い、あの物質のことです。
アムロのνガンダムは、サイコフレームを採用することで性能が上がったうえに、機体重量が減少。ようするにνガンダムがパワーアップすることにつながった新技術で、オカルトチックな力が働く不思議な素材……という漠然としたイメージを抱いている人が多いことでしょう。
私自身も最初に『逆襲のシャア』を見たとき同様の感想を抱いたのですが、劇中でのサイコフレームに関する発言をひもとくと、その原理などが解説されていました。
アムロは「敵の脳波をサイコミュで強化して受信できれば対応は早くなるからね」と語り、自身が設計に携わったνガンダムにサイコミュを受信する装置を搭載します。この「サイコミュ」とはニュータイプが発する感応波をマシンに伝えるシステムのこと。サイコミュによりビットやファンネルといった武装を遠距離から誘導・攻撃することも可能でした。
そんなνガンダムに搭載されたアムロのアイデアをヒントに、サイコミュの機能を持つ粒子レベルの極小コンピューターチップをフレーム内に封じこめたのが「サイコフレーム」という新技術です。ちなみにサイコフレームを完成させたのはシャア・アズナブル率いるネオ・ジオン陣営で、その技術をロンド・ベルに流したのはシャア自身だったりします。
しかし、ニュータイプのアムロが乗る機体がサイコフレームによって真価を発揮するのはなんとなく理解できますが、サイコフレームを身に着けただけの一般メカニックのチェーンにも不思議な現象が起こりました。
チェーンはラー・カイラムの機銃で、ネオ・ジオンの腕利きパイロット「レズン・シュナイダー」が操縦するギラ・ドーガを撃墜しますが、その直前チェーンが腰につけていたサイコフレームが謎の発光をしていました。
さらにチェーンがボロボロのリ・ガズィで出撃したとき、クェス・パラヤの操縦するα・アジールの攻撃が機体に直撃したかに見えましたが、おそらくサイコフレームのものと思われる謎の力でリ・ガズィは守られます。
結局ハサウェイによってチェーンのリ・ガズィは撃墜されますが、このときチェーンから放たれたサイコフレームは光を放ちながらアクシズ周辺を飛行。アムロも「なんだ、チェーンか? 来るのか?」と反応し、チェーンの所持していたサイコフレームをチェーンそのものだと認識したようです。
そしてロンド・ベルの奮戦もむなしく、地球に落下を開始したアクシズ。アクシズを押し返そうと集まった人々の意思が集中し、それにνガンダムとサザビー、チェーンの持っていたサイコフレームが共振して増幅、アクシズの地球落下を阻止するという奇跡を起こすことになります。
地球に落下する小惑星アクシズの軌道を変えるという、人知を超えた出来事が発生した背景には諸説ありますが、サイコフレームが持つ特性が深く関与したのは間違いなさそうです。