■音量操作でピコピコサウンドが和楽器に

ファミコン版『月風魔伝』オープニングタイトル

 先にも書いたようにファミコンの音は、同時代の他のゲームと同じく、聞き慣れたピコピコ音だ。これらの音が『月風魔伝』ほか、コナミのゲームサウンドの中ではもっとたくさんの音色が使われているように感じてしまう。

 ここで特徴的なのが「エンベロープ」である。エンベロープというのはざっくりいうと音量の操作のことなのだが、これの使い方がコナミの作品はとにかく秀逸だった。

『月風魔伝』ではオープニングやマップBGMで、メロディをやまびこのように響かせている(ように聞こえる)のだが、これは音量を巧みに操り、ロングトーンの音量を小刻みにふわふわ揺らすことで1パートで響いてるかのような効果を演出している。結果、物語のスケールやマップの広大さを感じさせる演出を生み出している。

ファミコン版『月風魔伝』より

 当時の和風ファミコンサウンドの最高峰の作品とも言われている、メインアクションシーンのBGM「1000億光年の彼方」では数々の和楽器が登場する(ように聞こえる)のだが、これもエンベロープのなせる技だ。

 和製音階の強いシンセサウンドから始まり、琴や三味線のような音が混ざってくる。これはエンベロープで立ち上がりを早くして“ツン”という音を出し、その後音量を素早く減少させることによって、弦の響きが消えていく減衰を見事に表しているのだ。かと思えば、そこに音量をクレッシェンドさせながら柔らかく立ち上げる篠笛のような音が加わり新しい旋律を奏でる。

 また2つのパートをユニゾンさせて片方の音を少しだけ低くすることによりコーラス効果(揺れ)を生み音を分厚くする(ディチューン)のもコナミサウンドの十八番で、『月風魔伝』でも効果的に使われていた。こういった技術は電子音で弦楽器の音や木管楽器の音を作るときの基本にもなっているので、現代のDTMミュージシャンにも参考になる音作りだ。

ファミコン版『月風魔伝』より、マップ音楽も最高だった

 和製音階と和楽器のミックスにより『月風魔伝』の音楽は完成され、そこにおどろおどろしいデザインの敵たちが次々と登場する。当時の子どもたちはそうして出来上がった世界観にどっぷり没入したのだ。

おどろおどろしさを更に増して帰ってきた『GetsuFumaDen: Undying Moon』

 34年ぶりの新作『GetsuFumaDen:Undying Moon』のティザー映像では、『月風魔伝』のラスボス「龍骨鬼」戦のBGMをアレンジした、和製メタル調の激しいギターサウンドが終始流れている。やはり新しく圧倒的にリアルになった映像にはリアル楽器の音がよく似合う。そんな時代の進化をより深く感じるためにも、ぜひとも前作『月風魔伝』を通して当時のコナミサウンドの素晴らしさを堪能していただきたい。

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