■自分の体に興味を持つきっかけに『はたらく細胞』
元気な体を維持するために、24時間365日、休むことなく働く細胞たちの日常を描いた“細胞擬人化”アニメ『はたらく細胞』。本作の魅力はやはり、「自分の体について楽しく学べる」点だろう。
全身に酸素と二酸化炭素を運ぶ赤血球や、体内に侵入したウイルスを察知し排除する白血球、損傷した血管を止血する血小板など理科の授業で習う細胞はもちろん、マクロファージや樹状細胞、NK細胞などあまり耳なじみのない細胞たちが体の中でどんな役割をもっているのか、アニメーションで分かりやすく、かつ詳しく解説もしてくれるからだ。
また擬人化された細胞たちの、役割をイメージしやすいポップなキャラクターデザインも人気の理由だろう。その親しみやすさから大人だけでなく子どもにも支持され、その年のハロウィンでは血小板ちゃんのコスプレをした子どもをよく見かけた。
体内ではたらく細胞たちの穏やかな日常には、突如危機が訪れることもしばしば。それはすぐに治る病気だったり、生死にかかわる大きなケガだったりと、さまざまだ。そのたびに細胞たちは総動員で体を守るべく全力を尽くす。その姿を見ればきっと、「もっと体を大事にしなければ」と思うはずだ。
なおこの作品は、授業で素材を使いたいという声も多数あがったほど、教育機関からの大きな支持を受けている。そういう点でも安心して見られるだろう。
2021年1月にはファン待望の第2期が放送され、さらに体への関心を深める機会を作ってくれた。1期で1つの見せ場となっていた、“ある細胞”との再戦にハラハラさせられた人も多いと思う。
さらに同時期に『はたらく細胞BLACK』という、不摂生極まる成人男性の体内の様子を描いたスピンオフ作品も放送された。寝不足やストレス、それをごまかすためのエナジードリンク。つかの間の癒しを求めて摂取するタバコや大量のアルコールがどれだけ体に負担を強いているのかを、シリアスに描いている。
原作漫画は青年漫画誌『モーニング』での連載作。『はたらく細胞』のアダルト版、なんて言われることもあるBLACKは、扱う題材も子どもにとってはヘビーな内容だ。しかも細胞たちの死も明確に描かれる。そのため、子どもと一緒に見るか悩む人もいるだろう。
鑑賞後にきちんと親子で話す時間を作るのがおすすめの視聴方法だ。自分の体を傷つける行動を学ぶことは、より深く自分の体を知るきっかけになるはず。子どもに見せるかどうか悩む場合は、まずは保護者だけで数話視聴し、判断してみてはいかがだろうか。
■親子で気になるアニメを一緒に探す時間を楽しんで
今とは違ってゴールデンタイムにもアニメがいくつも放送されていた時代。『セーラームーン』に親子でハマり、同じ熱量……もしかすると自分以上に熱狂している親の姿を見て、子どもながらにちょっとうれしくなったことを今でも思い出す。親と一緒にアニメを楽しむ時間は、子どもにとっても記憶に残る家族の風景になるかもしれない。
『アンパンマン』や『ドラえもん』など、明確に子ども向けと分かる作品はもちろん、子どもと一緒に楽しめるアニメは今回紹介した作品以外にもたくさんある。お家時間が長くなりそうなときは、気になるアニメを子どもと一緒に探してみるのもいい過ごし方になりそうだ。