■見る動物図鑑『天地創造デザイン部』

 続いては今年1月クールに放送された“生き物創造お仕事コメディ”『天地創造デザイン部』。通称「天デ部」こと「天地創造デザイン部」は、「キリンの首はなぜ長い?」「なぜライオンはオスにだけたてがみがあるのか?」など、聞かれてみれば「確かにその理由まで深く考えたことはない」と感じる動物の造形、生態の理由を学べるアニメだ。

 こう書くと、「難しい、お堅いアニメではないか」と思われるかもしれない。しかし天デ部は、クスっと笑える中に「そうだったんだ」という気づきがあるのが特徴。その理由は、物語の舞台設定にある。

 この作品は、天国にある「天地創造社」に在籍するデザイナーたちがクライアントの依頼を受けて、地上のあらゆる生物を生み出す、という物語だ。地上で生きることができる生物を生み出すには、繁殖や環境に適した体の造りを計算しなければならない。天地創造社のデザイナーたちは、過去につくってきた生物デザインの知識をフル稼働して、新たな生命の創造に取り組む。視聴者は彼らの知識に触れることで、ラッコが貝を石で割って食べる理由やゾウの耳が大きくなければならない理由など、その生物がなぜそのデザインでなければならないのかを自然と学べるのだ。

 つくりだす過程はファンタジー。実際に生物にそなわった造形、生態はリアル。『天地創造デザイン部』が、笑えて学べるアニメである理由はここにある。

 しかも天デ部におけるクライアントは神様。大人の世界にはびこる「クライアントは神」という言葉が、意味そのままの世界であるところもクスっと笑えるポイントだ。

 神のオーダーは、「かわいくてかわいくない」「翼がないのに飛ぶ」「肉食なのに草食」など、毎回むちゃ振りのオンパレード。そんな無謀な要望に弱音や文句を吐きつつも、真摯に仕事に打ち込むデザイナーたちの姿に、大人はきっと「分かる~!」という共感、面白さを感じるだろう。

 見る動物図鑑としても、お仕事アニメとしても楽しめる作品なので、親子で楽しめるはずだ。

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