『宇宙よりも遠い場所』『天地創造デザイン部』ゴールデンウィークに「親子で見られるテレビアニメ」3選の画像
画像はアニメ『宇宙よりも遠い場所』公式ファンブック(KADOKAWA)

 今年もゴールデンウイークがやってきた。とはいえ現在、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、東京・大阪・京都・兵庫では緊急事態宣言が発出されており、旅行や外出を控える人も少なくないはず。となると、お家時間が増えるのは必然。特にお子さんがいる家庭では、“退屈”という敵に悩まされる可能性があるだろう。

 そこで今回「ふたまん+」では、数多いアニメ作品の中から「親子で楽しめるアニメ」をチョイス。実際に視聴して、「子どもにも見せたい」「子どもと一緒に楽しめそう」と感じたおすすめ作品をピックアップした。

■一歩踏み出したくなる『宇宙(そら)よりも遠い場所』

 まずは2018年に放送された“よりもい”こと『宇宙(そら)よりも遠い場所』。

 一歩踏み出す勇気が持てない自分に、もどかしさを覚える主人公の玉木マリ(キマリ)。周囲の声に惑わされることなく、「南極に行く」目標のため突き進む小淵沢報瀬。とある理由で高校を辞め、フリーターとして生きる三宅日向。幼い頃から芸能活動で忙しかったせいで、友だちが欲しいのに作れないでいた白石結月。この4人の女子高生が南極に行く様子を描いたアニメが『宇宙よりも遠い場所』だ。

 この作品で描かれるのは、一歩踏み出した先に見える希望だ。彼女たちは民間の観測隊に同行するかたちで南極を目指す道中、資金や物資、隊員の不足、過酷な船旅、自分たちの体力のなさを目の当たりにする。「本当に南極に行けるのか」「南極に着いても何もできないのではないか」という、失敗が目の前にちらつくなかでも彼女たちは、「自分で選んだ道だ」とその選択すらも一歩前進した証拠だと前を向く。

 そんな前向きな彼女たちの姿があるにもかかわらず、「なんで一歩踏み出さないの」といった押しつけを一切感じないところもまた、この作品の魅力だと思う。彼女たちはただただ、これまで経験したことのない世界を目にして、胸を高鳴らせているだけなのだ。筆者はそんなワクワクに満ちた4人の旅を見届けたとき、どんなに小さな一歩でもいいから踏み出してみようという気持ちになった。

 さらに「女子高生南極青春グラフィティ!」という作品のコピーからも分かるように、よりもいは4人の青春を描いている。しかもその青春は、むき出しだ。

 作品中で彼女たちには、できれば触れたくない過去や葛藤と向き合わなければならない場面が訪れる。ふだんの生活なら面と向かわずに済む方法はあるだろうが、南極は逃げようにも逃げられない環境だ。ごまかしがきかない。そんな本当は隠しておきたい自分の弱い部分をさらけ出さざるをえない状況で彼女たちは、「南極に一緒に行く」という大きな目的を共有し積み重ねてきた絆の力で、それぞれが胸に抱えている葛藤や過去を乗り越えていく。互いを信頼し友情を深めていく4人の姿に、胸が熱くなること必至だろう。

 友情だけでなく観測隊員同士の絆、さらには親子愛と、物語のあちこちに人間ドラマが描かれる今作。見終わったあとに好きなシーンを語り合えば、親子の絆も深まりそうだ。

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