『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』などのテレビアニメ、特撮ヒーロー作品の主題歌で知られる歌手・ささきいさお(78)が、デビュー60周年を記念して「ささきいさおデビュー60周年記念オンラインライブ~序~」を4月9日に開催する。人生初のオンラインライブに臨む“アニメソング界の大王”にあの名曲にまつわる秘話やライブへの思いなどを語ってもらった。
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――デビュー60周年おめでとうございます! 今回78歳にして人生初のオンラインライブに挑戦しますが、今の心境をお聞かせください。
ささきいさお(以下、ささき) 今回の「オンラインライブ」は目の前にお客さんがいる通常のライブとは違ってお客さんの反応がどんな感じでくるのか分からないし、かといってレコーディングとも違って観ている方々に歌いかけなければいけないし、語りかけなければいけない。どうなるかはやってみなければ分からないですが、今までやってきたことを活かし、自分も楽しみたいという気持ちです。
――まずは自分が楽しむことも大切だと?
ささき スポーツ選手の方がよく、「自分も楽しんで頑張ります」とおっしゃるじゃないですか。昔は「スポーツってそんなものか?」と思ったこともあったんですが、僕らエンターテイナーは一生懸命さを楽しむことも必要なんじゃないかなと思うようになったんです。
――そうした心境の変化は最近のことですか?
ささき そうですね。率直に言って年を取ったし、どんなに運動しても衰えるところは衰えていきますからね。それを補って、ファンの方に楽しさを伝えると同時に自分自身も楽しむことも大切なんだろうな、と。
――5年前には4時間を超えるライブを行うなど年齢を感じさせないパワフルなステージで知られるささきさんだけに、衰えとは無縁な印象もありますが……。
ささき いやいや、自分では分かりますよ。若い頃なら体力だけでできたものが、年を取ると補ってやらないとダメになりますし。だから、(コロナ禍で)活動ができない間も筋トレをしたりスクワットしたり、いろいろとトレーニングはしていましたし、スポーツジムにも通っています。やはり背筋が伸びて腹筋、背筋がピッとしてないとしっかり歌えないので、インナーマッスルから鍛えています。
――歌手として日々の鍛錬は欠かせないというわけですね。今回のライブは90分のステージを予定していますけど準備は万端そうですね?
ささき 最後まで持つかどうかが問題ですね(笑)。ただ、最長で4時間以上のライブもやったことがあるし、自分では90分ぐらいならどうにかなるかなとも思っていて。それにライブに関しては40分ぐらい過ぎると時間の感覚がなくなってくるんですよ。自分が楽しんでいるから? そうかもしれませんね。だからある程度のところまで行って弾みをつけて、そのまま最後まで行けたらいいなとは思っています。
――ライブでは『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』、『秘密戦隊ゴレンジャー』などアニソン、特ソンの名曲の数々を披露する予定とか。
ささき タツノコプロ作品だったり、松本零士作品だったり、特撮戦隊シリーズだったり、そうした括りでトークも交えながらできるだけ多くの曲を楽しんで頂けたらと思っています。
――ささきさんが歌う主題歌の中には世界中にファンを持つ作品もありますし、今回はオンラインライブということで海外のファンの方も目にするかもしれません。
ささき そういえば、少し前に『SAUDI ANIME EXPO 2019(サウジ アニメ エキスポ2019)』という日本のアニメの博覧会みたいなイベントに招待されてサウジアラビアに行ったんですよ。会場だけでなく宿泊先のホテルにまで『サインしてくれ!』ってファンの方が来てスゴい盛り上がりでした。
――ヨーロッパに日本のアニメを愛するファンが多いことは知られていますが、中東というのは意外ですね。
ささき 80年代以降、中東でも日本のアニメがスゴく流行ったんですよ。とくに『UFOロボ グレンダイザー』の人気はスゴかったみたいですね。最初はフランスで流行って、ヨーロッパ全体に人気が波及して、その後に中東でも一大ブームになったそうです。
――なるほど。ささきさんが主題歌を歌った『UFOロボ グレンダイザー』はフランスやイタリアだけでなく、中東でも大人気だったんですね。
ささき フランスで放映されたときは日本とは別の主題歌だったんですけど、中東での放映のときはレバノンの歌手の方が歌ったんですが、曲のメロディー自体は日本と同じだったので、僕がオリジナルの主題歌を歌っていることを知っている現地のファンの方も多いみたいです。
――サウジアラビアでは『UFOロボ グレンダイザー』の主題歌も披露したんですか?
ささき はい。水木(一郎)とレバノンの歌手の方と3人で歌ったのですが、エジプトからスゴいバンドも来て豪勢なステージでしたよ。同じメロディーの曲でもレバノンの歌手の方は僕とかなり違う歌い方をしていて、「民族で歌い方も変わるもんだな」とビックリしましね。