■同情から生まれた新カップル?
ブルマは、恋人のヤムチャとケンカが絶えないながらもうまくやっていくのかと思いきや、いつの間にかベジータとの間に子どもが誕生して驚かされた。
未来からやってきたブルマとベジータの子・トランクスは「さみしそうな父をみて ついなんとなくらしいんですが……」と両親のなれ初めを恥ずかしそうに語っていたが、2人は結婚していないと説明していた。
そんな事実婚のような2人の関係。意外にもベジータには親バカな一面があったり、悟空がブルマをダシに老界王神を利用しようとしたときに怒ったりと、思ったよりも家族を大事にしている様子がうかがえる。
そしてベジータが、ブルマに対する気持ちをはっきり口にしたのが、魔人ブウ戦でのこと。ベジータが命を捨てる自爆を行う前、「トランクス……ブルマを…ママを大切にしろよ……」という父親らしい言葉を残して散っていったシーンは忘れられない。
■鳥山明氏らしい結婚描写
ほかに孫悟飯&ビーデル夫婦なども登場するが、どのカップルも結婚に至るまでのシーンはそこまで事細かく描かれていない(もしくは完全に描かれていない)のが印象的。
そういえば同じ鳥山氏の作品である『Dr.スランプ』でも、千兵衛さんの冗談交じりのプロポーズの言葉をみどり先生がトイレの中で聞いていて、即座に「はい!!」と結婚を承諾する流れだったことを思い出す。
過去に鳥山氏はラブコメは苦手といったニュアンスの発言もしており、作中での恋愛や結婚の描写があっさりしているのは、どこか照れくささがあるのかもしれない。
そんなこともあり孫悟空やベジータといったサイヤ人たちは戦闘に夢中になるあまり、家庭を顧みないキャラクターだと思われがちだが、それでも随所にしっかりと家族やパートナーのことを思っているシーンが存在した。そのあたりに注目しながら、あらためて『ドラゴンボール』を読み直してみるのはいかがだろうか。