■前振りとオチの絶妙な関係性

『キン肉マン』と同時期に『週刊少年ジャンプ』で連載していた宮下あきら氏の『魁!!男塾』にも、同世代ならおそらく誰もが知っている名解説キャラが存在する。

 全国の不良たちが集められ、過激な教育が施される塾「男塾」が舞台の同作品。序盤はギャグテイストが強めの漫画だったが、途中からバトル中心のストーリーに移行。主人公・剣桃太郎たちは、さまざまな武術の達人たちと戦うことになる。

 その大半の登場人物は架空の流派や武術を用い、刀剣等の武器の使用もOK。戦いは基本的に真剣勝負ながらも型破りな技の応酬に。そんなときに頼りになるのが、解説役だった雷電というキャラクターだ。

 みんなが見たことのない技が飛び出すと、なぜか雷電だけは知っている雰囲気。するとほかのキャラが「知っているのか、雷電」と驚き、雷電が解説を始めるという流れが『男塾』における一種の様式美だった(ほかのキャラが説明することもあったが……)。

 ちなみにもうひとつの男塾の名物が、「民明書房」という架空の出版社の存在である。作中に登場する荒唐無稽な設定の解説文は、この民明書房刊の書物からの引用というカタチで紹介。「雷電の解説」+「民明書房による説明文」、この民明書房で明かされる“強引な当て字”とハチャメチャな解説をひそかに楽しみにしていたのは、おそらく私だけではないだろう。

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