■どうしてもビアンカを選んでしまう…
そもそも、ドラクエ5自体が「ビアンカを選びなさい」と言わんばかりの作り方をしているように感じます。SFCパッケージの大人になった主人公の隣は大人のビアンカだし、ソフトに貼られているシールに至っては主人公とビアンカの2ショットです。これはもう「ビアンカと結婚する前提」として作られていると言っても過言ではありませんよね。現に堀井雄二さんも「9割がたのプレイヤーがビアンカを選ぶだろうと思っていた」と発言したこともあるようです。
また、ビアンカは主人公が6歳のとき(ゲーム開始時)、サンタローズで「わたしは8才だからあなたより2つもおねえさんなのよ」と言いながら本を読んでくれたり、子どもにいじめられているベビーパンサーを救うためにレヌール城のお化け退治に行こうと誘ってくれたりなど、無口で控え目な主人公を引っ張るお姉ちゃん的存在の幼なじみ(難しい漢字は読めないけど)として主人公の幼少期から登場します。
その後、父親を殺され地獄のようなドレイ生活を過ごしたあと、母親を探す旅に出た主人公は、伝説の盾を求めてたどり着いたサラボナで大富豪ルドマンに「炎のリングと水のリングを持ってくれば、娘・フローラとの結婚を認め、家宝の盾を授けよう」と言われたため、リングを探しに行くことになります。
その道中で山奥の村で父・ダンカンと慎ましく暮らすビアンカと再会するのです。
ダンカンは主人公が幼少期のときに出会ったときも風邪をひいているなど体が弱く、療養のために温泉地の山奥の村へと引っ越してきたが、妻に先立たれていまや娘のビアンカと2人で過ごすことになったこと、そしてビアンカとは血のつながりがないことなどを知ることになります。
そんなビアンカをふびんに思うダンカンは、主人公と結婚してくれたら安心だ、という旨を告げてきますが、当のビアンカはそんな思いを知ってか知らずか「水のリングを探すの私も 手伝ってあげるわ!」「だって(主人公)には幸せになって欲しいもんね」と言って、レヌール城以来となる冒険に出かけます。
主人公がほかの女性と結婚することになると知りながら、その手伝いをするというけなげさ、そしてバックボーン(育ての母が亡くなり、病気がちの父と山奥の村で2人暮らし。実の両親の存在も知らないなど)の切なさも相まって、ビアンカへの想いに拍車がかかる中、リングを2つ集めてルドマンに渡すと、フローラに「主人公はビアンカと結婚したいのでは?」と気を使われ、ルドマンに「では、フローラとビアンカどちらと結婚するか一晩考えて選びなさい!」と言われるのです。
この流れでフローラを選ぶ人が存在するのだろうか、と私は思うのです。
ここまであらためてビアンカとの出会いから結婚イベントまでをざっくりまとめただけでも「ああ、ビアンカ……」と胸が締めつけられるような想いにさいなまれます。
それでも「フローラ派だ」という方がいるのです。