「ちびまる子ちゃん卒業」キートン山田の『銀河英雄伝説』キャゼルヌ役での「温かみのある声」が忘れられない…の画像
Blu-ray版『銀河英雄伝説外伝 Vol.4』パッケージより引用

 先日、アニメ『ちびまる子ちゃん』のナレーションなどを長年務めてきたキートン山田氏が声優業を引退する意向を明らかにした。『ちびまる子ちゃん』の3月28日放送分で、同ナレーションからも卒業するという。

 声の仕事を50年以上も続けてきたキートン山田氏と言えば、先に述べた『ちびまる子ちゃん』のナレーションのほか、『ゲッターロボ』シリーズの神隼人、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の浪花十三(どちらも旧芸名の山田俊司名義)など、幅広い役柄を演じられてきた。

 中でも個人的にキートン氏が演じたキャラクターの中で印象深いのが、石黒昇監督版のアニメ『銀河英雄伝説』シリーズでのアレックス・キャゼルヌ役の演技だ。

 キャゼルヌは自由惑星同盟のヤン・ウェンリーにとっては士官学校時代からの先輩で、軍に入ってからも頭の上がらない存在。ヤンのように戦場で艦隊の指揮をとるわけではないが、デスクワークのプロフェッショナルとして後方で事務処理に専念する、いわば裏方的な役割を担った優秀な人物だった。

 名将同士の華々しい艦隊決戦とは縁のなかったキャゼルヌだが、ヤン陣営における彼の存在はとても大きい。ユリアン・ミンツの保護者にヤンを選んだり、ヤンの副官としてフレデリカ・グリーンヒル(のちにヤン夫人となる)を推挙したのはキャゼルヌの功績だし、彼の素晴らしい事務的処理能力の支えがあったからこそ、ヤンは自由に才覚を発揮することができたといっても過言ではない。

 そんな縁の下の力持ち的なキャゼルヌは何より人柄に魅力があふれる人物であり、キートン山田氏の温かみのある声がとてもマッチしていた。

  1. 1
  2. 2