■軍を離れた強化人間の末路
『機動戦士ガンダムZZ』にも数多くの強化人間が登場する。とくに主人公のジュドー・アーシタとかかわりの深かった、エルピー・プルやプルツーに思い入れのあるファンは多いことだろう。
彼女たちはネオ・ジオンが養成したクローンであり、「プルシリーズ」と呼ばれる。グレミー・トトが指揮する部隊で戦った「プルシリーズ」は12番目まで存在。そのプルシリーズの12番目を意味する「プルトゥエルブ」のコードネームで呼ばれていたのが、『機動戦士ガンダムUC』に登場した「マリーダ・クルス」だ。
上官だったグレミー・トトの戦死後、戦場から逃れることに成功したマリーダ。“戦うマシン”のように生きる日々から抜け出せたかに思えたが、脱出ポッドで回収された彼女に待ち受ける現実はさらに残酷なものだった。
アニメでははっきりとは描かれなかったが、悪質な男に娼館に売り飛ばされたマリーダは肉体、精神ともにボロボロになってゆく。彼女がスベロア・ジンネマンに引き取られるまでの間、どれほどヒドイ生活を送っていたのかを思うと胸が張り裂けそうになる。
その後『機動戦士ガンダムUC』の中で再びさまざまな戦いに巻きこまれていく彼女だが、良識あるジンネマンに保護された点だけは「心から良かった」と思ったのは私だけではないだろう。