こんにちは、ゲーム芸人のフジタです。ドット絵でしか表現できなかったファミコン時代、この頃のゲームのパッケージには中身の壮大な世界観を妄想させるものすごいパワーがあったように思います。ネットの情報も当然ない当時は、数少ない雑誌の情報と、口コミぐらいしかありませんでしたので、キッズたちはファミコンソフトの箱に描かれた絵でどんなゲームなんだろうと夢を膨らませたものでした。
『ベースボール』や『ゴルフ』といった任天堂初期にリリースされたシンプルな絵の箱。硬派な絵を使った『熱血硬派くにおくん』や『ファザナドゥ』の箱。『シャドウゲイト』や『オリュンポスの戦い』といったおどろおどろしい絵の箱もありました。紙箱だけでなくハードケースを採用するメーカーもあり、それぞれに個性があるのがこの時代のゲームの面白いところ。
任天堂では、たとえば同じ『マリオブラザーズ』でも初期と再販版とでは箱の色や形状が違ったり、ナムコでも『ギャラガ』のように初期は紙箱だったものが、再販版ではハードケースに変更されたりと、コレクター心を突くタイトルは少なくありません。
ただ箱の良さが中身の良さにつながるというわけでは当然ありません。みんな大好き鳥山明先生のイラストを使った『ドラゴンクエスト』や、“龍+キラキラ印刷”を使った『ウィザードリィ』など、見た目のかっこよさのまま中身もめちゃくちゃ面白いゲームがある一方で、箱のかっこいいイメージと中身が全然違って「つかまされた……」というものもありました。
あくまで僕の個人的な感覚ですが、ジャケ買いしてつかまされたゲームで真っ先に思いつくのが壮大なミステリーを思わせる『ミシシッピー殺人事件』の箱。本格SF感たっぷりの『星をみるひと』の箱。文庫本風の箱の『シャーロックホームズ伯爵令嬢誘拐事件』。おどろおどろしい『ジーキル博士の彷魔が刻』の箱あたり。
これらアドベンチャー系やホラー系の箱に子ども心をくすぐられましたが、当時実際に購入してやってみたところ、一瞬で嫌になったり、叩きつけたり、散々なタイトルでした。もちろん箱は今見ても最高にかっこいいので大好きなソフトではあります!