©西修(秋田書店)/NHK・NEP
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2019年にアニメ化され、現在は第3シリーズがNHK Eテレで放送中のアニメ『魔入りました!入間くん』(以下、『入間くん』)。西修が『週刊少年チャンピオン』にて連載中の学園ファンタジーコメディ漫画が原作で、主演の村瀬歩をはじめ、木村良平、朝井彩加、早見沙織、小野大輔……と、錚々たる顔ぶれが参加している作品だ。

主人公・鈴木入間は、思いがけず“悪魔の孫”となり、魔界で悪魔学校に通うことになった14歳。特殊な環境で育ってきた彼は、クラスメイトたちとともに様々な試練に挑み、その優しさで周囲を魅了し、成長していく。その姿をテンション高くポップに描いているのが、ギャグアニメを得意とするアニメーション監督・森脇真琴だ。今回は森脇監督に、第3シリーズを迎えた『入間くん』のこだわりや、声優陣の印象などを伺った。(前後編)

 

※ ※ ※

 

『入間くん』は毎日がハロウィンのような世界

――現在放送中の第3シリーズを拝見していると、作品やキャラクターがぐいぐい成長しているのを感じますが、過去シリーズから意識して変えられた部分はありますか。

 

いや、基本的には変えないようにしてますね。オープニングやエンディングは変わるので、『入間くん』としての作品観は変えないでいきたいと思ってます。

 

――具体的には、どんなところを大事にされてますか。

 

やっぱり、舞台が魔界というところですね。第1シリーズからやっていることですが、荒々しさを出して、色使いや音楽も魔界らしく。魔界を見たことはないけど(笑)、人間界じゃない感じがするような音楽にして、そういうところで『入間くん』のアイデンティティは守られてるかなと思ってます。

 

©西修(秋田書店)/NHK・NEP
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――『入間くん』の世界は、ハロウィンのような色使いでかわいいですよね。

 

食べものもハロウィンパーティーに出るごちそうみたいな感じでね。毎日がハロウィンっていう世界ですから。

 

――魔界のおどろおどろしい、ゲテモノっぽい食べものでも、色合いがかわいくてポップなので観ていて楽しいです。

 

ご飯どきにも放送しますからね。本当はもっと毒々しい食べものも出したいんですけど、観た方が食欲なくなっちゃうので(笑)。

 

――そこはちょっとセーブされてるんですね(笑)。主人公の入間は極度のお人よしで、頼まれたら断れない心優しい少年です。すごく独特な、他にはないキャラクターだなと思うのですが。

 

独特ですよね。私は少年漫画の主人公というと、もっとヒーローっぽいイメージが強かったんです。でも入間くんは全然違っていて、ああいう優しい男の子が主人公になっているのは不思議だなって。でも、みんなから好かれるのも当然という説得力がある。今まで手掛けたり読んだりしてきた少年漫画を思い返しても、初めて出会うような主人公ですよ。

 

――入間は両親から悪魔に売られ、大悪魔・サリバン(CV. 黒田崇矢)の孫として魔界で暮らしています。彼の育ってきた環境は描き方によっては笑えないと思うのですが、気をつけていらっしゃるところはどんなところでしょう。

 

いや、私は最初から笑えましたよ(笑)。サメを釣るエサにされたり、ギャグっぽく描かれてますからね。彼の幼い頃の生活をリアルに描いたら、もちろんすごいことになるんでしょうけど、本人がそのことをまったく憎んだり悲しんだりしていないから、ギャグっぽく描くことができる。ただ確かに、彼がその過去から「にげてる」感じがして、気にはなっていたんです。でも第3シリーズで入間も、自分の過去に直面しなきゃいけないという話数が来たので、「ああ、これをやるんだ」とちょっと驚きました。

 

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