「弦音(つるね)」に惹かれ、仲間たちと絆を深めて、「弓の道」と対峙していく物語TVアニメ『ツルネ』。本作が、劇場版として再始動した。
幼い頃に弓道の世界に飛び込んだ鳴宮湊(なるみやみなと)は、中学最後の大会で弓引きの病とも言われる「早気」にかかり、弓道の道を諦めてしまう。しかし、凄腕の射手・滝川雅貴(たきがわまさき)と運命的な出会いを果たし、高校生となった湊は風舞高校の弓道部で仲間たちとともに再び弓の道を歩み始める――。
本作で葛藤の中、成長を遂げていく主人公・鳴宮湊と、彼を導く弓道部のコーチ、「マサさん」こと滝川雅貴を演じるのは、上村祐翔と浅沼晋太郎。二人に、今回の劇場版への想いの丈を語り合ってもらった。
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こだわりの作品に出演できたことが嬉しかった
――TVシリーズから大好評だった『ツルネ』が、『劇場版ツルネ -はじまりの一射-』として帰ってきます。あらためて制作が決まった際のお気持ちをお聞かせください。
上村 TVシリーズから4年ぶりの収録だったのですが、率直に嬉しかったです。TVシリーズのときから、収録現場の空気感がとても好きだったので、またキャストが集まって、弓道部のみんなの活躍を一緒に演じることができる喜びがありました。
浅沼 実は、“劇場版をやりたいね”ということを、TVシリーズの収録の時に話していたので、それから4年経ったいま、本当に動き出したことが嬉しかったですし、勝手にドキドキワクワクしていました(笑)。
――お二人の中で、それだけ大きい作品だったのがわかります。2018年のシリーズに出演したときは、どんな印象を?
上村 弓道ってあまりアニメーションでは扱われていない題材だと思うんです。それだけに、弓道場の雰囲気や所作、振る舞い、射手の姿を見応えのあるアニメーションになった作品だと思いました。僕自身、剣道をやっていたので、道場の空気がピーンと張り詰めた感じなどは、どこか繋がりも感じていて。それがすごくよく描かれているなというのを感じましたし、それだけこだわって作られている作品に出演できたことが、とても嬉しかったです。
浅沼 当時甥っ子が『ツルネ』を見ていて、弓道をやってみたいって言い出したんです。僕も実際にやったことないくせに、彼に弓道は生半可なものじゃないぞって偉そうに言いました(笑)。でもそうやって、今まで弓道というものに触れたことのなかった人にも響いた作品だと感じていて。アニメをご覧になった方から、「私も弓道部でした!」というお手紙をいただいたことも嬉しかったですね。
似た者同士の湊と雅貴のキャラクター
――今回収録で、湊と雅貴を再び演じられたわけですが、お二人はご自身のキャラクターを、どういう人物だと思われていますか。
上村 僕が演じる湊は本当に、誰よりも素直で真っすぐな子だと思っています。それはTVシリーズの頃から変わらないですね。彼の心の動きや葛藤、弓道にしっかり向き合っていく姿は、矢が放たれて的に真っすぐ進んでいくかのごとく、すごくストレート。そこが湊の良さだし、見ていてすごく気持ちのいい主人公ですよね。彼がそうやってひたむきに頑張るからこそ、弓道部のみんなはそれに影響されていくし、その姿が風舞高校弓道部の指針にもなっているのかなと感じています。
浅沼 マサさんは、すごく自由に生きているように見せかけて、本当は“こうでなくてはならない”みたいなことを人一倍考えている人だと思っています。それはTVシリーズを経て、劇場版を収録して感じたことですね。
――劇中では、湊にとっての雅貴は再び弓道の道を突き進むことになる導き手でもあり、逆に雅貴にとっての湊はかつての自分を重ね、その姿を見守り、ともに成長をしていく存在に見えます。
上村 多分、湊にとってのマサさんは、心の拠りどころなんです。マサさんは、すごく頼りがいのある憧れの存在ですが、マサさんも湊と同じように、弓の道を進むにあたっての大きな葛藤がある。二人とも、いろんな意味でもがいている人なので、立場は違いますが、互いにシンパシーを感じている二人だと思います。
そういうところで運命的な出会いを果たした彼らが、高め合うことで物語が進んでいくんですよね。たとえば、湊がマサさんにチョッカイ出されたりするところなんか、見ていて微笑ましい(笑)。とても素敵な二人だなと思います。
浅沼 湊が真っすぐなのに対して、マサさんは” 真っすぐでいることを止めた人”なんじゃないかなと。湊がマサさんに対して憧れを持つように、マサさんも湊に対して、その「真っすぐさがうらやましい」という想いを抱いたんじゃないかと感じます。だから、上村くんが言ったように、二人は似て見えるのかなと思いますね。