7月8日に公開予定の「特『刀剣乱舞-花丸-』~月ノ巻~」は、刀剣男士たちの初めての夏休みを描いた楽しい物語。ほのぼのとした日常を大事にしている「花丸」らしさ全開の本作で八代拓が演じているのは、刀工・郷義弘による打刀・豊前江(ぶぜんごう)だ。「花丸」に登場するのは本作からとなるが、ゲームでは既に2018年に登場しているキャラクター。インタビュー第2回となる今回は、ゲームとアニメーションでの演じ方の違いなどを訊いてみた。(全3回)
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演じているキャラクターにも人格があるし、演じている僕らも人
――原案ゲーム『刀剣乱舞-ONLINE-』では2018年に登場した豊前江が、いよいよ今回の「月ノ巻」でアニメ『刀剣乱舞-花丸-』に登場されますね。ゲームとアニメーションとでは、やはりアプローチの違いなどがあるのでしょうか。
やはりゲーム用に収録するときとアニメーション用に収録するときとでは、加味することが微妙に違ってはきます。その要素というのは色々あるんですが、今回は僕なりのアニメーションの演じ方というか、「そこで生きている者として」というところを大事にしてやりました。
――アニメーションのアフレコ前は、ゲームのときに録られたご自身のボイスを聴いたりも?
聴きましたね。やっぱり初めての方にも「こういうキャラクターなんだな」と伝えられることは大事ですし、既に聴いたことがある方にも「あ、豊前江だ!」と思っていただくのも大事だなって思うので。もちろん絵もあるので、声だけで背負うことではないんですが(笑)。その要素をどういう割合で作っていこうか、といった話し合いはありましたが、ゲームで演じていたからといってアニメーションでは演じづらいとか、そういうものはありません。
――今回に限らず、過去のご自分の声を聞くというのはどんな感覚なのでしょうか。当時の記憶が思い出されたりするのかなと。
実は結構、役によってそれぞれなんですよ。明確に「これはこういう気持ちで演じたから、こうなったんだな」「これはこういうキャラクターにこうアプローチしたから、こうなったんだな」と、自分の頭の中で言語化できるものもあれば、たまに「これ、どう演じたんだろう?」と思うものもあるんです。
――そうなんですね。
演じているキャラクターにも人格があるし、演じている僕らも人じゃないですか。常に同じ考えで生きている人はいないと思うんです。生きているがゆえに、感じることや考えていることは、時期によってどうしても移り変わっていく。だから例えば、ものすごく悲しいことがあったときに録ったものと、ものすごくハッピーな気持ちのときに録ったものとでは、同じキャラクターで、同じ心を作って、同じアプローチでやったとしても、おそらく変化すると思うんです。そういう意味で、後から聴いたときに「どういうアプローチでこうなったんだろう?」と思うことはありますね。この話を聞いて「いや、プロなら常に同じように演じろよ」と思う方もいるかもわかりませんが(笑)、僕はそういうところこそが、人間がやる仕事の魅力じゃないかなと思います。